月1,500円払うことで、毎日ウィスキー一杯が無料になるアプリだそうです。
HIDEOUT CLUB は(中略)ウイスキー好きの人向けのコミュニティアプリとして誕生。(中略)新規集客したいバーと、新しいバーを開拓したいユーザの間のギャップを埋めるサービスを提供している。
現在のユーザ数は12,000人ほど。ユーザは月額1,500円の定額を支払うことで、アプリに表示される渋谷・新宿・銀座などのバー80店舗の中から1日につき最初の1杯を無料で提供してもらうことができる。バーは新規来店したユーザが顧客台帳に登録されることでリターゲティングが可能になり、お酒を選んで提供可能な商品を選択登録することで、ユーザの検索に自店舗が表示されるようになる。
私はウィスキーは飲みません。しかし、以前にウィスキーの醸造に関するテレビ番組を見て、とても興味を持ちました。長い年月をかけて醸造し、その土地の風土がウィスキーに大きく影響を及ぼすため、様々な個性があるのだそうです。
世界には多くのウィスキーマニアがいて、日本にウィスキーを飲みにやって来る外国人も数多くいる、と聞いたこともあります。
しかしその奥深さは、かえって私のような初心者にはハードルになることもあります。
上記のように私がウィスキーに興味を持ったとして、ではふらっと初めてのバーに行くか?というとおそらくないでしょう。
それはおそらくウィスキー愛好家にとっても同じで、次々と新しいバーを開拓する、という人は多くないのではないでしょうか。
そこで、バーと愛好者(ユーザー)をマッチングする、というサービスがあれば、バーにとってはお客さんが増えますし、ユーザーにとっては新たなバーを開拓できますし、ニーズの高いサービスかもしれません。
1.ビジネスモデルは?
ポイントはどのようにビジネスモデルとして成り立たせるかです。
一般には、二つの方向性が考えられます。
1)食べログ型
バー側・・・基本無料
ユーザー側・・・基本無料
※その代わり、広告収入などを収益とする
※実際の食べログでは双方とも有料サービス有り
2)ぐるなび型
バー側・・・有料で掲載
ユーザー側・・・基本無料
しかし、このサービスはそれとは違う方向性を選びました。
3)HIDEOUT CLUB
バー側・・・(明記されていませんがおそらく)有料
ユーザー側・・・有料
一般に、ユーザー側が料金を払うサービスはハードルが高くなる分、敬遠されます。
ぐるなびも、「クーポンで安くなる」という理由で利用する人は多いはずです。
このサービスも、たとえば
「登録すると、一律で500円引き」
といった特典にすることも可能だったはずです。
では、なぜそうしないのでしょうか?
それは、「ウィスキー」「バー」という特殊性です。
2.店側のメリット
ウィスキーを好きな人が、500円安くするためにクーポンを見せる・・・
端的に言って「かっこ悪い」行為ですよね。
普通の居酒屋だったらむしろ「お得な行動」でも、バーという場では「無粋な行動」です。
また、バーにとっても「あからさまに安さだけを求める人」ばかりが来てしまっては、場の雰囲気が壊れます。
そこであえてサービス自体を有料にすることで、単なる安さ目当て「だけ」の人は排除できます。
このサービスを利用する人は「月額料金を払ってもいい」と思えるくらいウィスキーが好きな人なのですから、2杯目、3杯目も期待できて、中長期的にはリピーターになることも期待でき、店側にも十分メリットがあるのでしょう。
3.ユーザー側のメリット
ユーザーにとっても、値引きクーポンを提示するのは恥ずかしいですが、この場合はある意味「有料の会の会員証を見せる」だけ、いわばスポーツクラブの会員証を提示するのとさほど変わりません。
これだったら「無料だし、新規開拓してみようか」という気分になりますね。
一般に、「無料」に勝る集客はありません。
しかし無料であると、「それにさほど興味のない人まで集まってしまう」「気に入ったとしても、この先にお金を払ってくれるとは限らない」というデメリットもあります。
特にこのウィスキーのように、最初からユーザーをかなり絞り込んだサービスでは、あえて有料にすることで、優良なユーザーを獲得できます。
■■■このニュースから学べること■■■
1.ビジネスモデルで重要なのはどこから収益を得るか。
2.一般に、無料は最大の集客策。しかしデメリットも多い。
3.あえて有料にすることで、優良なユーザーを集めることができる。
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