「腑に落ちない」ことこそやるべき理由

こちらの本に、印象深いことが書いてありました。

 132ページ以下の内容で、私の印象に残った点を要約して抜粋します。

・「腑に落ちたからやる、腑に落ちないからやらない」は誤りである。

・著者が営業成績アップのために取った作戦が、とにかく先輩たちの真似をすることだった。

・そのときに「腑に落ちないこと」だらけだった。

・しかし、腑に落ちないことを真似していると、商談がうまくなり、理解できるようになった。

・腑に落ちないから取り組まなかったことこそやり直すべき。誰もが理解できるものにはすでに成長の余地はない。

 私にとっても、耳が痛い話です。

私が研修やコンサルティングを行う際、気をつけるのは「きちんと理解してもらい、納得してから行動してもらおう。ただやみくもに行動だけしても心から納得できなければ成果は出ない」ということです。

しかし、著者のように、見方を変えれば「納得できること=腑に落ちること」というのは、その人の頭の中にすでにあることなのです。

つまり「腑に落ちないことはやらない」ということは「本当は良いのに、その人が良さをわかっていないだけのことを拒絶する」ことになってしまうのです。

だからこそ「腑に落ちる」ことだけをやっていては、成長は見込めない。腑に落ちても落ちなくても、その良さがわかるまで、とにかくやってみる。たしかに一理あります。

私自身もあえて書店などで「普段の自分だったら絶対に読みたくならないであろう」本を選び、わざと手にすることがあります。

「自分がピンと来る本」は、そのときの自分の思想やアイデアに一致するからこそピンと来るのです。そうでなく、あえて「何それ」「そんなのおかしいでしょ」という本を取るのです。

もちろん中身を読んでピンと来ないこともあります。しかし、だからダメだと思うのではなく、「それでもこうやって書籍になるくらいだからこれに同意する人、納得する人もいるのだな。その人はどういう人だろうか」などと考えることで学びになります。

あえて自分と反対の思想を取り入れる、というのは、いくらそれが正しくても抵抗があるものです。

手の内をばらします。私は研修講師として「受講生から高い評価を得たい」と思ったら、何をすればいいかわかります。

それは受講生を認め、ほめて、その通り、すばらしい、とすべて肯定してあげることです。そして、受講生が思っていることや知っていることを別の言葉で言い換えて、納得してもらうのです。つまり乱暴に言えば受講生に「うん、自分は正しいんだな」と「腑に落ちてもらう」のです。

ここで「受講生が知らないことを教えてあげよう」「間違った考えを正してあげよう」と思うと、低評価を受けます。いくら正しくても、受講生の考えや態度を変えようとすると反発されます。ロジックの正しさなどには関係なく、ダメな講師とマイナス評価を受けてしまうのです。

もちろん私はだからといって受講生に迎合することはありません。とはいえ、「腑に落ちないことをする」というのは、それくらい抵抗があることなのです。

そこで腑に落ちない部下や社員を実行させられるかどうか、がリーダーの腕の見せどころです。

すべての人に納得してもらったり、腑に落ちて満足してもらうことは不可能です。腑に落ちないことでもやり切る・やらせ切る実行力が経営者には必要なのです。

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