Netflixの”同業者”コンサルタントから学んだこと

年末年始にNetflixでこんな番組を見ていました。

メアリー・ポータスのミステリーショッパー

https://www.netflix.com/title/80228129

小売業コンサルタントのメアリー・ポータスが、イギリスで不人気のお店を立て直す、という番組です。

休みくらい仕事を離れれば、と自分でも思うのですが、ついコンサルタントの「同業」ということで、見てしまいました。

私自身、コンサルティングを他の人と協業で行うことはありますが、かといって他のコンサルタントのやり方をじっくり見ることはなかったので、面白かったです。

もちろんこれはTV番組の企画ですし、クライアントが実際にフィーを払っているわけではないでしょうから、現実とはかなり違う部分もあるのでしょうが。

とはいえ、コンサルタントとして改めて学ぶ部分もありました。
その中でも3点が以下です。

1.まずはやらせてみる

私が見た回は、男性向け洋服店の経営者夫妻、特に夫が「立て直し」の対象でした。

その夫はウチが客を選ぶんだと言わんばかりの態度で、接客でもくだらないジョークばかり。
まるで「パブのオヤジ」でした。

そんな夫と妻に、いきなり指導やダメ出しをするのではなく、顧客対応の良さで評判の高い人気サンドイッチ店のプレタ・マンジェでレジ対応をさせていました。
(ちなみにプレタ・マンジェは日本にも進出しましたがすぐ撤退してしまいましたね…)

すると接客がほぼ未経験の妻は要領よくこなすものの、夫はくだらないジョークも含めて接客がうまくできない…という予想通りの展開に。

他にも、人気の自転車店で接客させるなどして、本人に自分の接客ではダメだ、と「気づかせる」よう仕向けていました。

もしも頭ごなしに「接客はこうしましょう」とだけ言っていたら、「俺の/この店はこうなんだ!」と反発して、聞く耳を持たなかったことでしょう。

実際にまずはやらせて、自分の接客ではお客様は喜ばないんだ…と気付いてもらうことが大切なんですね。

(そういう店で接客を体験できるのも、テレビだからと言えばそれまでですが…)

2.客のリアルな声を聞かせる

洋服店に常連客を含むさまざまな男性を呼んで、意見を述べてもらっていました。

すると「(店の外観を見て)チャリティーショップかと思った」など、様々な辛辣な意見が飛び交います。

これもリアルな客の声ですから、疑いようのない事実です。

特にこのコンサルタントは女性ですから、店の内装や洋服の品揃えなどについてそのまま意見したら

「これは俺の好みなんだ」「女には男の世界はわからない」

などと意固地な男性オーナーに拒絶されていたことでしょう。

3.否定しない、指示しない

番組の中盤、コンサルタントは「店の名前を変えるべきだ」と提案しました。

しかし、オーナーは悩みに悩み、その提案を拒絶し、現在の店名で継続すると主張しました。

これにはさすがにコンサルタントもさじを投げるのでは…と思いましたが、辛抱強くオーナーの言い分を聞き、現在の店名のままとすることを受け入れました。

他にも、オーナーのくだらないジョークに嘆いたりあきれたりしつつも、「それはやめなさい」と否定したり、「店にこれは置くな、これを置け」と指示したりすることもありませんでした。

あくまでも最終的にはオーナー夫妻の自主的な判断に任せていたのです。

もしこれが日本の、カリスマがお店を立て直す!系の番組だったら、師匠が「こうするんだよ!」と教えて、お店のオーナーはそのやり方をそのまま真似て同じようにできるまで修行する…というパターンでしょう。

この番組では、あくまでもオーナー本人が「自主的に」変わるようにしていたのが印象的でした。


以上が「同業者目線」での私の感想です。

こうして振り返ると、頭ではわかっていてもつい私はこれの逆、たとえば
・自分の理論を押し付ける
・自分がいいと思うように変える
・どうすればいいか事細かく指示する
などをやってしまっていないかなー、と気付かされました。

もちろんテレビなので不自然な点はあるのですが(店の内外装が何の相談もなくある日突然かっこよく変わったり)、いろいろと考えさせられる点もあり、興味深かったです。

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