あなたの怒りの原因とは
アンガーマネジメントをご存知でしょうか。
アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合うことおよびそのためのトレーニングや教育のことです。
では、あなたの怒りの原因とは何でしょうか。
あなたに怒りをもたらす「人」や「出来事」があるから、あなたは怒る。
普通はそう思いますよね。
しかしアンガーマネジメントではそうは考えません。
アンガーマネジメントでは、
あなたの「べき」が怒りをもたらしている
と考えます。外的要因であなたが怒っているのではなく、「あなたが」あなたの怒りを引き起こしている、と考えます。
いやそんなことはない、という方は、次のケースを考えてください。
あなたが一般道路を車で走っています。
突然、猛スピードで走る車があなたの車を追い抜きました。
いきなりそんなことをされたら、危ないじゃないか!事故でも起こったらどうするんだ!とムカッとするのではないでしょうか。
「危険な車のせいで」あなたは怒った、と考えます。
では、こんな状況だったらどうでしょう。
あなたがその車の運転手について、実は「危篤の家族がいる病院に大急ぎで向かっている」と知っていたら?
驚きつつも、そんな緊急事態なら仕方ない、と思いとどまり、怒りはしないのではないでしょうか。
でもこれらの両場面、「猛スピードで追い抜かれた」という状況はまったく一緒です。
それなのに前者は許せないのは「車は法定速度で安全な運転をする”べき”」というあなたの「べき」があるからです。
(いやいや法律上当然だろ!と思ったかもしれませんが、それも法律はいついかなるときも守る”べき”というあなたの”べき”です。)
一方、後者は「そんな緊急事態なら仕方ない」とあなたの「べき」がなかったから、怒りを感じないのです。
あなたには無数の「べき」がある
私は海外旅行が好きです。
なぜなら、私が無意識に思っている「べき」が、実は私(たち)が勝手に作ったものにすぎないと気付かされるからです。
たとえば国によっては、飲食店で店員さんがおしゃべりしていたり、店内でまかないを食べていることはよくあります。
もしそれと同じ光景を日本で見たら「やる気のない店だな、もっと真面目に働けよ」と思うかもしれません。店員はおしゃべりをするべきでない、店内で食事をするべきでない…という「べき」があるからです。
しかし外国でそのような光景を見ると、別に怒りはわきません。特に迷惑を受けているわけではなく、店員はこうあるべき、と自分の「べき論」で怒っていたに過ぎないことに気付かされます。
先日、中国へ行きましたが、店員や受付担当者がスマホをいじっていることなど日常茶飯事です。でもこれも別に自分はチケットが買うなどできればいいだけで、別に怒る必要はありません。これも「仕事中にスマホをいじるべきでない」という自分のべき論に過ぎません。
スペインで夜10時過ぎにバルに行ったときのことです。店内の空いたスペースで、お父さんと5歳くらいの子供が柔らかいボールを蹴り合ってサッカーをして遊んでいました。
もしこれが日本だったら、自分が店長でもないのに「店内でボールを蹴るなんて!」「こんな夜遅くに子供を連れ回すなんて!」と腹を立てていたかもしれません。
しかしそのような感情はまったく起こらず、「別に自分は迷惑を受けていないし、家庭の事情もそれぞれだし、お国柄もあるしな」とむしろ微笑ましく思ったくらいでした。
このように私は海外で、そして日常生活で、自分の無意識の「べき」がひっくり返されることをむしろ楽しんでいます。
それに対して、自分の「べき」に固執する人もいます。外国人にマナーが悪い!と怒る人がいますが、それは多くの場合、その国と日本とであるべきマナーが「違う」だけです。その人はマナーとはこうあるべき、という呪縛から抜け出せていないだけです。
反対に私は日本人はすごくマナーが悪い、と思うことも多々あります。たとえば窓口に並ぶ列で、イギリスなどではキュー=列をきれいに作りますが、日本では思い思いに適当に並びます。また、日本では電車やバスで子供に席を譲りません。もしこれらを外国人が見たら「我が国に比べて日本はマナーが悪いなあ」と思うかもしれません。これも、マナーが「違う」だけです。
「べき」を認識し、心を開くことが成功の第一歩
あなたにも無意識の「べき」がないでしょうか。
「べき」があることはやむを得ません。
大事なのは、その「べき」が否定されたり、ひっくり返されたりしたときの反応です。
「なるほど、そういう考え方もあるのか」と面白がれるか。
それとも「そんなことはおかしい!許されない!」と怒るか。
あなたの「べき」で、会社や社員の未来を狭めてしまっていないでしょうか。
長時間の労働をするべき、
責任ある仕事に就く以上は残業も引き受けるべき、
残業できないのなら簡単な事務作業での低賃金でも受け入れるべき…
こんな「べき」が、会社の未来を閉ざしてしまっているかもしれません。
自分の「べき」に気づくこと、そしてその「べき」を指摘されたら素直に受け入れること。
それが自分と会社の未来を開く道ではないでしょうか。
コメント