顧客の年齢でセグメンテーションはできない

化粧品とターゲット年代

先日、こんなニュースが流れてきました。

CHICCA終了に愛用者「いやああああ」「ショック」
https://www.asahi.com/articles/ASM715GW3M71ULFA03L.html

カネボウ化粧品「CHICCA」ブランド展開終了へ 2019年秋コレクションで
https://news.livedoor.com/article/detail/16705268/

私が化粧品の仕事をしていたのは2010年、今から9年以上も前なので、記憶は正確ではありませんが…

当時、カネボウ化粧品の傘下のブランドとしては、「SUQQU」が40代以上、この「CHICCA」が50代以上をメインターゲットとしていました。
(とはいえ、この両社はそれぞれ別の子会社で運営されていたため、直接の交流などはなかったようですが。)

2008年にCHICCAブランドができた際は「デパート化粧品で50代以上とは思い切ったことをしたな、それだけ高齢化も進んでいるんだろうな」と思ったことをなんとなく記憶しています。

さて、改めて上記のニュースやCHICCAのウェブサイトを見るとどこにも「50代以上をメインターゲットにした」とは書いていませんよね。実際、ビジュアルなどを見ても、現在のメインターゲットは50代以上ではないのでしょう。

これが「私の記憶違いで、昔から50代をターゲットにしていない」のか、「当初からずっと50代ターゲットだったものの表にそれを出していないだけ」なのかはわかりません。

※たとえば自動車でも、高齢者向けの車を「これは高齢者向けの車です」と宣伝すると売れなくなってしまうため、わざともっと若い人に向けた広告にする、なんてことはあります。

顧客を年齢で区分できるか

これは私の推測の域を出ませんが、おそらくCHICCAは顧客を年齢で区切ることの意味の薄さに気付き、年齢でお客様を区分する取り組みをしなくなったのではないか、と思われます。
(専門用語を使うと、年齢でセグメンテーションを分けなくなった)

先ほどSUQQUは40代以上、と書きましたが、最近たまたま25歳の女性アイドルが愛用する化粧品にSUQQUをあげているのを見たことがあります。

ユーザーの側も、広告ビジュアルに年配の女性が使われている、というのでもない限り、「この化粧品は何歳の人向けか」を気にしなくなっているのかもしれません。

いや、仮に広告ビジュアルに年配の女性が使われていても、それすら関係なく「この商品がよければ、自分にぴったりなら買う」という感覚なのかもしれません。

一昔前でしたら、消費者は商品を買うとき、これは自分の年代向けの商品なのか、をすごく気にしたように思います。つまり、年代ごとに商品は決まっていて、「間違った」商品を買ってはいけない、という認識ですね。ファッションブランドや化粧品は特にそうでした。もちろん今もそのような感覚は多少はあるでしょうが、薄まりつつあるように思えます。

企業の側にいると、顧客を区分するというと、真っ先に「30代の女性」といった「年齢+性別」が出てきます。

それくらい、「人は年齢によって好みや買うものが変わるものだ」という思い込みが企業側にあるのでしょう。

しかし、自分のことを考えてみても、「これは自分の年齢にぴったりだ」と”意識して”買う商品はどれくらいあるでしょうか。(結果としてそうだった、ということはもちろんあるでしょうが)

10年前、20年前と、買い物の好みが大きく変わったでしょうか。おそらくそんなには変わらないはずです。

たとえば「ユニクロ」「任天堂」「スプライト」、これらのブランドは何歳向け?と言われても、答えに困りますよね。

実際に、スイーツを買っているのは実は年配の男性もけっこう多いとか、消費の動向を年齢では区切れないケースは多々あります。

顧客の区分=セグメンテーションというと、すぐに「年代」で切る傾向がないでしょうか。

もちろん人生のイベントとして「小学校入学前にランドセル」「成人式前に着物」といった、そのような消費は残るでしょう。

しかし、ファッションや化粧品ですら、対象ユーザーの「年代」ではもはや切れないかもしれません。

「この商品/サービスは何歳向け?」と考えてしまったときは、ぴったりの顧客の「年代」があるはずだという思い込みがないか、注意したほうがいいのかもしれません。

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