カキの食べ方「あたりにくい」と不正確な情報拡散したのはなぜか ~ 脳のスッキリ感に要注意

Q.なにか特別な経営手法や有名コンサルタントの指導によって、今のビジネスを一発逆転したいです。可能でしょうか?

A.脳はわかりやすさや「スッキリ感」を求めます。「そうだったのか!」と目からウロコのときこそ、気をつけましょう。

先日、このようなニュースを目にしました。

カキの食べ方「あたりにくい」と不正確な情報拡散。厚労省「それほどリスクは下がりません」

https://news.yahoo.co.jp/articles/ecad11f7d10caf38310e5858a6801155fe8175ff

「牡蠣を食べるときは殻に口をつけてズルッとやらず、お箸などで貝柱を外してからパクッと食べた方があたりにくいらしい」という情報がTwitterで拡散されている。しかし、この情報は不正確だ。

実はこのニュースの元となるツイートを、私はたまたまニュースになる前に見ていました。

そのときの私の感想は「スルー」
「保留」と言ってもよいでしょう。

全面的に肯定するでもなく、嘘だそんなことあるわけないと否定するでもなく。
ツイートを見るたびに深く考えていたらきりがないですからね。
このような豆知識的なツイートはスルーがくせになっています。

その後、上記のニュースを改めて見て「まあそうだろうな」と思った次第です。

このようなニュースを見聞きしたとき、あなたはどう思うでしょうか?

1.「なるほどそうだったのか!リツイートしなきゃ!」
2.「本当かな?信じていいのかな?反論材料はあるかな?」
3.スルー

1のように「なるほど!」と思ってしまわなかったでしょうか?

2のようにもしも反論を考えるとしたら、次のような反証が考えられます。
・「殻に口」がそんなに危ないなら、すでにその知識が広がったり、保健所が通達したりしているのでは?
・病原菌は一般に内臓や身の方にあるのでは?殻について生存できるものなのか?
・仮に殻に病原菌がたくさんいるのなら、殻を素手で持つことも危険なのでは?
・私は一回もあたったことがない、と一人のサンプルを一般化してよいのか?
・「三重の漁師さん」とはどんな人?信頼できるのか?

これらのことを冷静に考えられたら、殻が危ないというツイートに対して「本当にそうか?」と冷静にツッコミを入れられたはずです。

しかしニュースによれば、2.5万リツイートもされたそうで、それはすなわち「そうだったんだ、知らなかった!知らせよう!」と思った人がそんなに多くいたことが推測されます。

※もちろんリツイート=賛同ではないので、2.5万の中には「こんな間違ったツイートがある」という紹介の意図でリツイートした人もいるでしょう。

人は難しいことを考えずにこのように「スッキリ!」したいのです。
いちいち「本当かな?」「証拠はある?」などと考えていたら脳が疲れてしまいます。
人間の脳はカロリーを大量に消費するので、なるべく考えないに越したことはないのです。

特に「スッキリ!」を感じさせるには3つのポイントがあります。

1)常識に反していること

「銀ブラという言葉は銀座でぶらぶら歩くことではなく、銀座でブラジルコーヒーを飲むこと」

このような説がテレビの情報番組で何度か流れたことがあります。
「へぇ、そうだったんだ!」と思いがちですが、これは誤りだとされています。

しかしこのような「実は○○は違うんですよ!」と常識をひっくり返されると「へぇ!知らなかった!」とその反動で感動も大きくなりがちです。

今回も「実は牡蠣で危ないのは身ではなく殻なんだ!」と常識に反しているからこそ「へぇ!」が起こりやすかったのでしょう。

2)情報の距離感が近すぎず遠すぎないこと

今回、情報が絶妙だったのが「牡蠣の殻に口をつけて食べる」という行為の距離感です。

そのようにして牡蠣を食べることはたいていの人にとってあまりない、あっても年に数回というところでしょう。(もちろん例外の人もいるでしょうが。)

もしこれが毎日の習慣(歯磨き、入浴など)だったら「いや、そんなわけがない」とすぐに気づきますし、

反対にまったく縁のないこと(おいしいフォアグラの調理法など)だったら関心を持たれず「スルー」されていたことでしょう。

生の牡蠣を殻から食べる、という「日常であまりない、でもまったくないとまでは言えない」絶妙な距離感が人を信じさせたのだと思われます。

3)健康になる・自慢できるなど具体的な「トク」があること

今回はこうすると「牡蠣にあたらない」という、具体的な「トク」がありました。

私も何度か牡蠣にあたったことがあり、あたるとたしかに辛いものです。

「牡蠣=あたりやすい、怖い」というイメージの人も多いでしょう。

それがこうするとあたらないんですよ!と言われると、それはいい情報だ!トクだ!と感じてしまいます。

このように人はその情報に価値がある=トクだ!と感じると、信じたり広めたくなります。

そのトクは、具体的な利益だけでなく「知っていると自慢できる」「優越感を抱く」なども含みます。(銀ブラの例もそうですね)


このように人は「スッキリ!」したい傾向があることを、私は以前にYoutube でご紹介していました。

ナナメアタマ~スッキリする答えこそ要注意!
https://www.youtube.com/watch?v=lIUJdAvjFTE

では冒頭の例から
「有名カリスマコンサルタントの高額セミナーに参加すれば一発逆転できるのでは!?」
で考えてみましょう。

もちろんそのようなセミナーの中には有益なものもあればそうでないものもあるでしょう。

しかしそこで「一発逆転!」を期待してしまうのは、単に脳がラクな解決法を求めているだけではないか、そして次の3つに当てはまっていないか、振り返ってみましょう。

1)常識に反していること

このセミナーは普通に考えたらものすごく高額で、一般的な買い物などの金額に比べたら常識には反している。

でも、だからこそ特別な何かが得られるのではないか!?

と、常識に反しているからこそ特別なんだ、と思ってしまっていないでしょうか。

2)情報の距離感が近すぎず遠すぎないこと

高額セミナーは、元々の自分にとっては遠い、別の世界の存在です。

でも、自分の資格や経歴が問われるわけではなく、「お金さえ払えば参加できる」という点では近い存在です。

この遠すぎず近すぎない距離感が、高額セミナーは絶妙です。

3)健康になる・自慢できるなど具体的な「トク」があること

これはもちろん「このセミナーに参加すれば一発逆転できる、しかもラクに」というトクです。


繰り返しますが、高額セミナーのすべてを批判するわけではありません。

しかし上記のような「スッキリしたい脳の仕組み」を利用してうまく買わせようとする業者がいるのも事実。

そんな不適切なロジックに捕まってしまわないためには、自身、そして社員の論理的思考力=ロジカルシンキングを高めることが重要です。

弊社でもロジカルシンキング研修等を提供しておりますので、参考にしてください。

https://www.tofusha.co.jp/lineup/

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