ファシリテーションとは
ファシリテーション(facilitation)とは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。 集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。 その役割を担う人がファシリテーター(facilitator)であり、会議で言えば進行役にあたります。(日本ファシリテーション協会より)
ファシリテーションという言葉はかなり浸透してきました。
簡単にいえば「会議などをうまく進行すること」で、学ぶための書籍や講座なども多数存在します。
しかし、浸透してきたがゆえに、安易にファシリテーションを行って失敗してしまうこともしばしば。書籍や講座で「なんとなくできそう」と思ってしまい、安易に実践することで「生兵法は大怪我のもと」になり、会議などがかえってぎくしゃくしてしまうことも。
そこで、本格的なファシリテーションを学んだり挑戦したりする前に、ファシリテーションの場面の冒頭、開始時に「やるべき4つのこと」と「やってはいけない1つのこと」をご紹介します。
私、幸本陽平は研修講師として研修を行ったり、企業のコンサルタントとして会議を行う上で、必ず最初に行う4つのことがあります。それによって、研修や会議が円滑に行われます。
この4つをやっておき、さらに「やりがちだがやってはいけない1つのこと」を回避すれば、よいファシリテーターとなり、円滑な会議となることでしょう。
冒頭でやるべきこと その②
目的を明確にし、共有する
その会議や話し合いの目的、すなわち「何のために」話し合うのか、を確認します。
たとえば「町内会のお祭りでの出し物について話し合う」というテーマで人が集まったとします。
(あえてビジネス寄りではないたとえにしています。)
このとき、「町内会のお祭りでの準備について話し合おう」では、まだ「目的」はあいまいです。
なぜなら、このテーマだけでは次のようにいろいろな解釈をする人がいるからです。
「お祭りの主役は子供だ。子供が喜ぶイベントにしよう」
「食べ物の屋台を出すってことだな。どんな屋台がいいかな」
「面倒なことを言い出して、自分がやらされたら嫌だな」
「許可申請とかいるのかな?食べ物だと保健所の許可もいるかも」
このように、各自がいろいろなことを考え出してしまい、話はまとまりません。
このまま話し合いを始めると、
「あれ、今って何の話をするんだっけ?」
「あの人の話、今ってそのテーマだっけ?」
「そんな細かい枝葉の問題、今決定しないといけない?」
と、各自が迷走してしまいます。
そうならないように、ファシリテーター(進行役)が最初にすべきは「目的の設定、共有」です。
ファシリテーター、進行役自身が
「この話し合いは『何のために』行うのか」
を説明するのです。
具体例
このような話し合いは、まずいきなり「何をするか」を話し始めてしまいがちです。
もちろん最終的にはそれを決めないといけないのですが、目的=「何のために」がブレていると、話し合いが噛み合いません。
たとえば漠然と「良いイベントにする」としてしまうと、「良い」の定義は人それぞれです。
・人がたくさん集まる。
・参加者が満足する。
・予算内に収まる。
・高い収益が得られる。 …など。
それらが噛み合っていないままやりたいことややるべきことを話し合っても、会議はうまくいきません。
そうならないよう、最初に「この話し合いは何のために行うか」を宣言します。
「イベントの内容を決めます」ではなく、
「前年は300人が来てくれたイベントですが、今年はそれより多い400人の来場を目指します。そのために、昨年より多くの人が来てくれるよう、そのイベント内容を決める話し合いです」
と、話し合いの目的を確認するのです。
わざわざ話し合いの目的を確認する理由は、会議や話し合いは、必ずしも全員の知識や意向が揃っているとは限らないからです。
「良いイベントの内容を決めよう!」とやる気満々の人もいれば、「とりあえず呼ばれた、何をやるのかわからない」と思っている人もいるかもしれません。
これまで10年ずっとそのイベントに関わってきた人もいれば、初めて参加し、過去に何をやったのかすらわかっていない、という人もいるかもしれません。
そんなとき、いきなり「イベントの内容を決めよう」では温度差が出てしまいます。
全員の足並みが揃うよう、内容の前にイベントとこの話し合いの「目的」を把握します。
そこでお互いに共通認識を持つことで、「じゃあ、その『目的』を達成するにはどんな内容がいいかな」と話し合いに入れるのです。
そうすれば、話の内容がブレたり横道にそれたりしません。
ファシリテーションや会議の冒頭でやるべき4つのこと、二つ目は
「目的を明確にし、共有する」
です。
※次回は三つ目をご紹介します。
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