この記事では、新入社員研修の成果を増大させる方法をご紹介しています。
新入社員研修、これを教えないと!
2025年4月、当社はいくつかの企業・団体様で新入社員研修の講師を担当しました。
一般に新入社員研修というと、マナー、コミュニケーション、ビジネス文書、コンプライアンス…などが挙げられます。
それらに加えて業務に必要な知識を指導する、というイメージでしょうか。
当社がさまざまな企業・団体で新入社員研修を実施した中で感じた、
「新入社員の思考の偏りや癖」
「この視点をまだ持っていないから、切り替えないといけないこと」
が3つあります。
それらはたいてい、企業で長年働いていると自然と身につくことではあります。
しかし、働いた経験がないとこの視点や思考がないのか!と改めて感じた点だったのでご紹介します。
この3つを新入社員研修で早期に指導し、習得させることができれば、
従来の教育体系にくらべて格段に成長速度が速くなることでしょう。
その3つについて、新入社員の思考を「AからBへ」移行させるとよいという形式にてご紹介します。
研修を提供する企業や講師が知っておくべき、見落としがちなこと3つ
1.「BtoC」から「BtoB」へ
私は以前、デパート化粧品のマーケティングを担当していました。
化粧品のマーケティングは基本的にBtoCであると言えます。
しかし、「デパートとの出店交渉や営業活動」はBtoBビジネスである、とも言えます。
完全にBtoC「のみ」のビジネスはほとんどありません。
どんな企業でもBtoBとしての要素があるため、企業を顧客・取引先とする視点は必須です。
つい最近まで学生だった新入社員は、馴染みのあるBtoCビジネスだけを無意識に連想してしまいます。
そのため本来は取引をする「企業」を相手として考えなければならないのに、消費者の視点「のみ」で考えてしまいがちです。
BtoBをより具体的にイメージできるよう、指導しましょう。
2.「増やす」から「減らす」へ
新入社員にアイデアや企画などを考えてもらうと、あれも、これも…と次々と増やす傾向があります。
学生時代の「試験勉強の時間」や「部活の走り込み」であれば、多ければ多い、でよいでしょう。
しかし、仕事は情報が多すぎるとかえってわかりにくくなり、ごちゃごちゃします。
それに、2時間考えたからといって、1時間考えたときよりも2倍のよいアイデアが出るとは限りません。
成果が同じならば、コストや消費した資源はむしろ少なければ少ないほどよい、が仕事の原則です。
新入社員は学生時代の延長で「多ければ多いほどえらい、褒められる」と考え、あれこれと余計な肉付けをしがちです。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」であり、増やしすぎないよう注意しましょう。
3.「新規アイデア」から「既存アイデアずらし」へ
同じく、新入社員に「新しい」アイデアや企画を考えてください、と指示すると、
「ゼロベース」で「この世にまったく存在しないもの」でなければならないと思い込む傾向があります。
しかし、「まったく存在しないもの」を(しかも新入社員が)思いつくのはほぼ不可能です。
結果として、行き詰まる傾向があります。
そんな斬新なアイデアが仮にあったとしても、新しすぎて馴染みがないアイデアは、
かえって関係者に受け入れてもらえず、うまくいかないものです。
そうではなく、既存のアイデアや商品・サービスを「ずらす」だけでも十分「新しい」と言えることを、
肌感覚で理解してもらう必要があります。
「ずらす」とは、たとえばメイン顧客を男性から女性に変える、
営業時間を昼メインから夜メインにする、などです。
いずれもまったくこの世にないものを生み出したわけではありませんが、
ビジネスとしては十分に「新しいアイデア」と言えます。
「ずらす」以外にも、既存のものの組み合わせでもよいでしょう。
新入社員は「新しいアイデアを~」と聞くと
「この世にない、まったく新しいもの」でなければ、と思ってしまいます。
「ずらす」だけで新しいアイデアになる、と説明しましょう。
まとめ
- BtoB視点をもたせる。
- 多いよりもむしろ少ない方がよいと理解させる。
- 「新しさ」とはゼロからではなく、既存のものをずらせばよいと教える。
来年度以降の新入社員研修の参考にしてください。
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