新刊「できる人ほど仕事はこの『動詞』で考える」 セルフライナーノーツ

2025年5月発売の拙著、

をセルフライナーノーツとして振り返ります。

はじめに

実はこの書籍、書いた原稿は、実際に本になった文章の3倍くらいはあります。
文章のうち、3分の2は書いたけど捨てている、ということです。
それだけ厳選された内容のみが残されて書籍化されています。

とはいえその辺は読む人にとってはどうでもいいことですよね。
読んでもいない、削られた部分について語られてもどうしようもないですから。
なので、ぜひ書籍の内容のみでご判断ください。

本書誕生のきっかけ

本書のスタート時のコンセプトは、最終的な内容とは全く異なるものでした。
本書の当初のアイデアは
「動けない人が動くには」
でした。

昨今の企業研修やコンサルティングなどで、特に若い世代は
「インプット偏重で頭でっかちになり、アウトプットが不足している」
「大切なのは動くこと、『やる』こと。でもお勉強ばかりで実際にやらない・やれない人が多い」
と感じていました。

昨今、Youtubeやオンラインセミナーなど、インプットして知識を増やす手段は、無料もしくは安価で、無限と呼べるほど大量に提供されています。
しかし最終的に何か成果を出すためには、結局は「やる」「動く」しかありません。

いくら自転車の乗り方を本で勉強して、他人が自転車に乗るのを見ても、それだけで自転車に乗れるようにはなりません。
結局は、自分でペダルをこいで、転んで、すりむいて、コツを覚えて少しずつ上達するしかないのです。

ところが最近、特に若いビジネスパーソンはインプット偏重になっていないか、と危惧しています。
インプットするのはもちろんよいのですが、それがかえってアウトプットを遠ざける結果になっていないでしょうか。

なぜならアウトプットをすると、成果や結果が如実に現れます。
そうなると、「今までのインプットが無駄だった」「役に立たなかった」などがわかってしまいます。
だからインプットのみに集中し、「これだけインプットを頑張った自分はエラい」で満足し、その段階で終わらせるほうが楽しくて満足度が高くなるのです。

研修やコンサルティングにおいて、私はよくこんなことを言います。

「考えること、それ自体は仕事ではありません。考えて、それをアウトプットして、何らかの価値を生み出す。それが仕事です」
「あなたが考えているかどうか、ぼーっとしているかは、他人からはわかりません。だからこそ、あなたが考えたことは、ちゃんと声や文章など、成果物でアウトプットしてください」

この辺りが消化しきれておらず、「考えているし、勉強している自分はちゃんとやっている」と思っている若手社員や新入社員が最近は多いのでは…と感じていました。

だからこそ、やる=「動く」ことの大切さ、さらに具体的にどう動けばよいか、を書籍でまとめられないか、と以前から考えていました。

「動く」ためには…動詞だ!

書籍として、動かないと成果は出ないよ、だから動くことは大切だよ、とお説教や精神論のような内容だけでは、読む気が起きないですし、読み手の心と身体は動かないでしょう。

動け!の精神論で終わらせず、
「では、『動く』ためにはどうすればいいの?」を書籍に落とし込もう
と考えました。

そこで私が気づいたのが、
「動き方」がわからなければ「動く」ことはできない
という単純なことです。

カレーライスを見たことも聞いたこともない人に「カレーライスを作れ」と言っても作れません。当たり前のことです。

それと同じように、いくら動くことの大切さを納得してもらっても、「では、どう動けばよいのか」が分からない人に動け!動け!と命令しても動けないのではないか、と思いました。

では、どうやって「動く」ことを教えるか。
どうやって「動けない」人が「動けるようになる」のか。

それは、
「動く」ことを分解し、細分化して「動詞」に落とし込むことだ
と気づきました。
こちらが本書の実質的なスタートとなります。

また料理のたとえで恐縮ですが、料理の経験があり、レシピを知っている人は、豚肉を見ると
「焼くか、揚げるか、煮るか」
「焼くにしてもそのまま焼くか、あるいは味噌漬けにしてから焼くか。揚げるにしても、小麦粉でから揚げ風にするか、パン粉でトンカツにするか。そしてソースは…」
と多彩なレシピが浮かびます。
さらに、冷蔵庫の材料や今の食べたい気分などにあわせて、ぴったりの料理を作ることができます。
それに対して、豚肉料理をしょうが焼きしか知らない人は、それ以外の料理の選択肢がありません。
いろいろな豚肉レシピを知っている人としょうが焼きしか作れない人、どちらが満足いく料理を作れるかは明らかです。
仕事の基本もそれと同様です。
仕事は基本的に正解がわからない、未知の問題の連続です。
そこで、たとえば「売上が悪い」という問題に対し、さまざまな打ち手を知っている人と「とにかく広告だ!」と考える人とでは、どちらがよりよい仕事ができるかは明らかです。
こうして、仕事の諸問題に対する「打ち手」、料理でいえば「レシピ」は何だろう…と考え、突き止めたのが「動詞」でした。
動詞は文字通り「動く」ためのものですし、さまざまなビジネススキルも、わかりやすく解きほぐすと動詞に行きつきます。
たとえばロジカルシンキングには演繹法・帰納法がありますが、これらは物事の関係性をどのように「つなぐ」か、です。
あいまいな表現をわかりやすく数値化することは「かぞえる」です。
このようにして、仕事に欠かせない12の動詞を厳選し、スキルとしてご紹介しているのが本書です。
5冊目で初めて、化粧品マーケティングのエピソードを数多く盛り込んでいます
本書の特徴として、5冊目の書籍にして初めて、私の経験談をふんだんに盛り込んでいます。
特に盛り込んだのは、私の化粧品会社勤務時代の経験です。
私は開業前、百貨店化粧品マーケティングに長年携わってきました。
しかし、今まで、そのマーケティング経験についてはあまり語ってきませんでした。
理由は単純で、「昔の体験やエピソードに頼るのはカッコ悪い」と思っていたからです。
「私は昔、有名なアレをやった」と自慢して自分を大きく見せる人は多くいます。
広島にも、(個人が特定できるので自粛)。
このような自慢は「アレはオレがやった」からアレオレ詐欺などと言われたりします。
とはいえ、実際のところ、みなさんにとって興味があるのは百貨店化粧品マーケティングであることも事実です。
これまではそんなことより「今」を見て!昔の勤務先には頼らない!と思っていたのですが、時間も経過しましたので、「もうええでしょう」と当時のエピソードを解禁することにしました。
なので、百貨店化粧品マーケティングに興味がある方にもオススメです。
私の書籍は「とっつきやすいけど、エネルギーを使う」
私の本に共通しているのですが、私の本は
「とっつきやすく、読みやすい。けど、頭のエネルギーを使う」
だと思います。
内容そのものは読みやすく、わかりやすいものになっているはずです。
しかしそれは「易しい」「簡単」とは限りません。
内容は難しくはないのですが、表面ではなく本質を突いていると自負していますので、読むにはそれなりにエネルギーを使います。
自分でも文章チェックなどをしていると、心身がぐったりしてしまいます笑。
それくらい、「読み応え」がある内容になっています。
(だからこそ、楽に・サクッとビジネススキルを手に入れたい!という方は買わないでください。不向きです。)
ぜひ本書を活用して、あなた自身が動詞で「動く」人材になることを願っています。

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