商品・サービス名、シンプルにするか?複雑にするか?

最近の名前トレンド

商品やサービスに名前をつけるとき、どのような観点で決めているでしょうか。

よくあるのが、「思いを込めたい」「差別化したい」「ユニークさを出したい」と考えて、造語や長めの名前をつけがちです。
しかし、近年のネーミングの傾向を見ると、あえてシンプルな名前、特に一般名詞そのままを商品・サービス名とするパターンが多いように感じます。

(例)
LINE
note
SHIRO(化粧品)
BASE(ネットショップ作成) … など

どれも一語で構成され、意味も明快です。
余計な表現を排除した、シンプルなネーミングだと言えるでしょう。

人の記憶に残るのはシンプルな名前

先日テレビで見たのですが、ある学者さんが
「成功した人物の名前を調べてみると、シンプルで覚えやすいものが多かった」
という主旨のことを言っていました。
売れっ子芸能人も、複雑なコンビ名・芸名からシンプルなものにして成功した例が多い、と番組では紹介していました。

これは、名前を記憶する際にノイズとなる要素が排除され、覚えやすくて印象に残るからではないか、と解説していました。

この考え方は、商品やサービスのネーミングにも応用できるかもしれません。

市場にはすでに膨大な数の商品やサービスがあふれています。そんな状況では、消費者の注意を引くのは簡単ではありません。
そんな中、「note」や「LINE」のように、短く、意味がわかりやすく、視覚的にも聴覚的にもすっと入ってくる名前だと、記憶に残りやすいのかもしれません。

思いよりも「伝わる」ことを

私たちはどうしても、自分たちが生み出した商品に特別な思い入れを持ってしまい、それを名前に反映させたくなります。
「他にはないネーミングにしたい」「私たちの思いを込めたい」と。

しかし、それがユーザーにとっての「ノイズ」になっていないか、自己満足のネーミングになっていないか、一度立ち止まって考えてみたほうがよいでしょう。

本当に伝えたい価値やメッセージは、名称ではなく、商品の品質やそこから得られる価値そのものであるはずです。
ネーミングは、その体験への入り口としては、シンプルであるほうがプラスになるかもしれません。

シンプルすぎることにも要注意

ただし、シンプルな単語をそのまま商品などの名前にするには、いくつかの注意点があります。

まず、商標の取得が難しいことです。一般名詞そのものは、他者がすでに使用しているなどの理由で、法的な保護が受けづらいことがあります。
特に単語単体での登録は困難な場合があります。
筆者の以前の勤務先でも、普通の数字を表す英単語を自社の商品・ブランド名にしようとして、商標的に苦労したと聞きました。

また、ネット検索にも注意が必要です。たとえば「BASE」や「note」のように、日常的にも広く使われる単語は、検索エンジンで埋もれてしまう可能性があります。
ユーザーがブランド名で検索した際に、公式情報にすぐにたどり着けるような工夫も欠かせません。

価値は最大に、言葉は最小に

商品・サービス名やブランド名は、消費者の最初の接点であり、もっとも目に触れる「顔」であると言えます。

だからこそ、こちらの伝えたいことすべてを詰め込もうとせず、ユーザーにどう届くか、どう記憶されるかを最優先に考えたほうがよいでしょう。
一般名詞を用いて、意味が明確で、記憶に残りやすく、呼びやすい名前にすることも検討してはいかがでしょうか。

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