なぜあの人は斬新な企画が出せるのか? 異なる世界からヒントを”パクる”NM法の教科書

新しいアイデアは「借りる」がコツ
会社で新しいアイデアを出せと言われた!
だけど、机に向かって考えていても、どうしてもいつもと同じような、過去の延長線上のような企画しか浮かんでこない…
そんなことはありませんか。
人は無意識の思考パターンがあるため、新しいアイデア・斬新な企画を生み出すことは容易ではありません。
そんな膠着状態を打ち破るための強力なツールが、日本生まれの発想法であるNM法です。
NM法のポイントは、一見まったく関係のない分野からヒントを借りてくることです。
以下、画期的なアイデアを生み出すNM法について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
NM法とは何か
NM法は、創造工学研究所の所長であった中山正和(なかやま まさかず)氏が1970年に考案した、日本発のアイデア発想法です。
名前の由来は、中山氏のイニシャル(Nakayama Masakazu)から取られています。
NM法とは類似(アナロジー)を使って発想を広げる仕組みです。
類似(アナロジー)のわかりやすい例は、
オナモミの身が動物にくっつきやすい性質を応用し、マジックテープを発明
です。
アイデアのヒントはまったく別の領域にある、という考え方をもとにして、異なるジャンルから解決のヒントを得るのがアナロジーです。
このように特定のステップに沿って思考をジャンプさせ、新しい価値を生み出していくのがNM法です。
どんなときに使えるか、メリットは
NM法が真価を発揮するのは、次のような場面です。
- これまでにない斬新な新商品や新サービスを開発したいとき
- 既存の技術や強みを活かして、新しいビジネスモデルを作りたいとき
- 現在のやり方に行き詰まり、ブレイクスルーが必要なとき
最大のメリットは、人間の「無意識のバイアス(思い込み)」を強制的に外す点にあります。
普通に考えていたら絶対に結びつかない領域からアイデアの構造を借りてくるのがNM法の特徴です。
そのため、他のフレームワークでは出ないような奇抜で独創的な答えに、誰でも再現性高くたどり着きやすい、という利点があります。
NM法を一般的なステップで解説
NM法は、一般的に以下の手順に沿って進めます。
- テーマの設定(課題):解決したい課題を明確にします。
- キーワード(KW)の選定:テーマの本質的な機能や特徴を表す言葉を決めます。
- 類似の発想(QA):そのキーワードから連想される、別の世界にあるもの(自然界や別業界の事例など)を探します。
- 背景や構造の探求(QB):連想したものが、なぜその特徴を持っているのか、仕組みや背景を洗い出します。
- アイデアの着想(QC):洗い出した仕組みを、最初のテーマに無理やり結びつけてアイデアをひねり出します。
- 解決案の統合:出たアイデアを組み合わせて、具体的なソリューションにまとめます。
NM法を具体例で解説
これだけではイメージしづらいと思うので、身近な例で考えてみます。
たとえば、あなたが今までにない、新しい折りたたみ傘を企画することになったとします。
通常だと
「折りたたみ傘の不満や不便はないかな」
「どんな折りたたみ傘になったら便利だろう」
などと考えるかと思います。
ところがこの考え方だと、今ある折りたたみ傘の「当たり前」からどうしても抜け出せません。
そもそも、「折りたたみ傘って、ここが不便だよなー!」なんて普段から思っている人はほとんどいないでしょう。
だから、不満や不便、改善アイデアなどを無理やり絞り出しても、結果としてイマイチなアイデアで終わりがちです。
それに対して、NM法は以下の流れで行います。
- ステップ1(テーマ):新しい折りたたみ傘の開発
- ステップ2(キーワード):傘の本質は「パッと開いて、きれいに閉じる」こと。
- ステップ3(類似):「パッと開いて、きれいに閉じるもの」を自然界などから探します。ここで「アサガオの花」を思い浮かべました。
- ステップ4(背景・構造):アサガオはなぜきれいに開閉するのか? を考えます。
朝の光や水分を得て、細胞の圧力で内側から外側へ綺麗に広がる。
らせん状に巻かれていて、つぼみの状態でもコンパクト。 - ステップ5(アイデアの着想):このアサガオの仕組みを、折りたたみ傘に掛け合わせます。
「光や水分に反応して、自動でふわっと開く傘はどうか?」
「骨組みを直線ではなく、らせん状に巻きつくような構造にしたら、もっとコンパクトに畳めるのでは?」
このように、ただ「傘のアイデアを出す」「不満を解消する」よりも、「アサガオの仕組みを傘に応用する」と考えた方が、視点が変わり、新たなアイデアが出しやすくなります。
類似の手法との違い
アイデア発想法には様々なものがあります。
NM法は他の有名な手法とどう違うのか、簡単にご紹介します。
KJ法との違い
川喜田二郎氏が開発した「KJ法」は、たくさんの混沌としたアイデアや情報をカードに書き出し、グループ分け(構造化)していくことで本質を見出す手法です。情報を取りまとめる「収束」の側面に強みがあります。これに対し、NM法はアナロジーを使ってゼロから新しいアイデアを飛び出させる「発散・着想」に特化しています。
ブレーンストーミングとの違い
「ブレーンストーミング」は、複数人で批判を禁止しながら自由に意見を出し合う、最もポピュラーな発散手法です。ただし、自由すぎるがゆえにメンバーの知識の範囲内にアイデアが留まりがちという弱点もあります。NM法は、ステップに沿って強制的に別世界の要素を掛け合わせるため、ブレーンストーミングよりも飛躍したアイデアが出やすいという特徴があります。
注意点
NM法をビジネスで実践する際、いくつか陥りがちな罠があります。
一つ目は、ステップ3の「類似(アナロジー)」を見つける段階で、テーマに似すぎているものを選んでしまうことです。
折りたたみ傘のテーマに対して「扇子」を選んでしまうと、アイデアが手堅くまとまりすぎて、あまり面白い化学反応が起きません。
できるだけ遠い世界のもの(植物、動物、宇宙、建築など)を引っ張ってくるのがコツです。
二つ目は、ステップ4の「構造の深掘り」を雑に終わらせてしまうことです。
単に「見た目が似ている」という表面的な共通点ではなく、「なぜそういう動きをするのか」「どんな原理で成り立っているのか」という本質的な仕組み(メカニズム)まで掘り下げましょう。
そうしないと、ステップ5での質の高い掛け合わせが難しくなります。
NM法 まとめ
一見、ハードルが高そうに見えるNM法ですが、実は私たちの脳が日常的に行っている「〇〇に例えるなら……」という思考を、ビジネス用に仕組み化しただけのものです。
「NM-H型」や「NM-T型」といった、目的(技術開発向け、情報整理向けなど)に応じた細かい分類も存在しますが、まずは「別世界の仕組みを、自分のビジネスに無理やり当てはめてみる」という感覚で試してみるのがおすすめです。
強制的に異なる世界にヒントを探しに行くことが、NM法のポイントです。
企画で行き詰まったときは、ぜひNM法を試してみてください。


