
※この経営ブログは過去の内容をアップデートし再構成しました
なぜ、展示会の9割は失敗しているのか?
先日、来場者として展示会に足を運んできました。
私はプレゼンテーション研修なども行っていますが、展示会はある意味、究極の「プレゼンテーション」の場です。
ブースの前をわずか数秒で通り過ぎる人にうまくプレゼンできなければ、容赦なくスルーされてしまいます。
会場を歩き回って抱いた率直な感想は、
「みなさんプレゼンが下手すぎる!」
です。
しかし、これだけだと単なる悪口になってしまいますので、具体的に改善のポイントを挙げます。
一番多いよくないやり方は、「この製品で何ができるか」を必死に説明してしまうことです。
「展示会なんだから商品の紹介をするのは当たり前では?」
と思うかもしれません。
ですが、会場を歩く来場者は、最初からそのブースに興味がある例外を除き、「それが何か」には関心がありません。
知りたいのは「それが自分にとってどういいのか」です。
展示会、噛み合わない体験談
※以下の例は企業等が特定されないよう少し変えています
ある商談管理AIシステムを提供するブースで、こんなやり取りをしました。
担当者「こちら、弊社の商談管理AIシステムなんですが…」
私「はぁ(とりあえず聞いてみるか)」
担当者「従来の商談管理システムだと、~ができない、~が手間、という欠点がありました。ですが我が社のシステムなら、AIが~してくれて、指定のフォーマットに出力できて……」
私(説明が長いな。今のところ特に困っていないんだけどな)
担当者「~~~なんですよ、いかがでしょうか(ようやく間が空く)」
私「…すみません、よくわかりませんでした(そんな一方的に使い方を説明されても…)」
担当者「あ、じゃあデモをご覧ください!ここをクリックすると…」
私「…これって従来のシステムと何が違うんですか?大して変わらない気もしますけど」
担当者「このシステムならクラウド上で一元管理できまして…」
最後まで会話が噛み合いませんでした。
相手は「このシステムが何か」を説明したい。
対する私は「自分にどんなメリットがあるか」を知りたい。
視点が根本からズレていました。
もしも担当者が
「営業の引き継ぎ時間を半分にするシステムです」
「新人の成約率を2割引き上げるシステムです」
といった具体的なメリットから話始めたら、「えっ、本当?なぜそう言えるの?」と、こちらから興味を持ったかもしれません。
興味がない人に短時間で伝えたいなら、説明を始めるのではなく「相手のメリット」を提供する必要があります。
よくある展示会NG
会場で見かけた残念な対応は、他にもたくさんありました。
・「2分だけ説明させてください!」と引き止める
興味のない話を2分間も聞かされるのは苦痛です。長すぎます。
・収納用具を紹介するブースでいきなり「ビジネスパーソンは年に80時間も探し物をしているんですよ!」とスケールの大きな話を始める
話が大きすぎて「自分ごと」として捉えられません。
・あえてひねった展示内容にする
「なんだろう?」と思わせる狙いかもしれませんが逆効果です。
来場者がほしいのは成果であり、謎解きではありません。
・パンフレットを配ることが目的化している
あまりにもしつこく私にパンフレットを押し付けてくるので、つい「興味がない人に渡しても意味がないですよ」と言ってしまいました。
それでも「いやぁ、そこをなんとか!」と押し付けられてしまいました。
展示会の目的は受注を得ることであり、パンフを配ることではないはずです。
・後出し条件…パンフを渡してから「名刺と引き換えです」と言ってくる
「恩を受けたら返さなければ」という心理(返報性)を悪用したやり方です。
このようなやり方は、受け手としてあまり気持ちの良いものではありません。
展示会で成果を出す「指差しフリップ作戦」
では、どうすれば足を止めてもらい、能動的に話を聞いてもらえるのでしょうか。
おすすめしたいのが「指差しフリップ作戦」です。
口頭で「こんなメリットがあります!」と一つだけアピールした場合、それにあてはまらない人は通り過ぎてしまいます。
だからといって「AもBもCもできます!」と列挙すると、印象に残りません。
だからこそ、来場者に「自分にぴったりのメリット」を指で選んでもらうのです。
具体的な進め方(企業研修会社の場合)
提供サービスについて、「マネジメント研修」といった売り手側の名前ではなく、買い手側が「あー、確かにそうなったらいいね!」と思ってもらえるような名称にします。
そのような3つの選択肢を用意します。
(例)
部下を指導してまとめる力の向上
営業の交渉やアポ取りの向上
残業を減らす時間管理の向上
これをテレビ番組のようなフリップにして見せ、
「この中で、こうなったら一番うれしいものはどれですか?」
と問いかけます。
いきなり口頭で聞かれると警戒しますが、3択クイズのように提示されると「うーん、これかな」と選びやすくなります。
相手が「部下を指導してまとめる力」を選んだら、次のフリップを出します。
「あなたが求める指導力とはどれですか?」
部下をぐいぐい引っ張る
部下の話をしっかり聞く
部下に細かく指導する
ここで再び相手に指で選んでもらいます。
仮に「引っ張る」を選んだとしたら、ここで初めて
「では、部下を引っ張ってまとめる力をつける研修をご紹介しますね」
と説明に入るのです。
なぜこの方法が有効なのか
この流れならば、説明する内容は相手が自ら選んだニーズそのものになります。
さらに人は「自分で選んだ選択を否定しにくい」という心理になりがちです。
押し付けられた提案ではなく、自分で選んだため、スムーズに話を聞いてくれやすくなります。
自分で選んだので「いらないです」「違います」とは言いにくくなるわけですね。
(悪徳商法だとこの心理を悪用してくるので気をつけてください!)
1段階目で3択、2段階目で3択なら合計9通りのニーズをカバーできます。
選択肢を5択×5択にすれば25通りまで対応できます。
(直感的に選んでもらうには、一度に見せる選択肢は5つが限界です)
もし指差しに乗ってこない場合は、「アンケートにご協力ください」とシールを渡してボードに貼ってもらう方法も有効です。
手渡されると「貼るくらいなら」と動いてくれやすくなります。
(ただし強引にならないよう注意)
まとめ
・商品をいきなり説明しない
・お客様のメリットから始める
・選択肢を用意して、自発的に選んでもらう
ぜひ次の展示会で試してみてください。

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