JALの新サービス「どこかにマイル」が話題です。
このサービスをごく簡単にまとめます。
1)往復6,000マイルでOK。(通常は12,000マイル以上なので半分)
2)4ヶ所の行き先が提示される。ただしそれはシャッフルで変更できる。
3)申し込むと、後日、その4ヶ所のうち1ヶ所が行き先として確定する。
ちなみに、日付や大まかな到着時刻の指定、友人との同行も可能とのこと。
羽田発着のみなので、広島在住の私には縁がないサービスですが、人気を集めているようです。
経営やマーケティングの視点ではすでにさまざまなメリットが語られています。
JALと利用者、双方のメリットは?
【JAL側のメリット】
●空席を飛ばすよりはマシなので空席を有効活用できる
●顧客のJALマイルを貯める=JALによく搭乗するきっかけになる
●話題性、情報拡散が期待できる
【利用者側のメリット】
●少ないマイルから利用できる、失効せずに済む
●待つドキドキ、楽しみがある
●行ったことのない地域に行ってみる機会になる
さらに私がひとつ気付いた「あっ、欲しい!」を引き出す重要なポイントがあります。
それは、
「人は、誰かに決めてほしい」
という心理が必ずあることです。
なぜ「組み合わせ自由の弁当」は売れないか
私がマーケティング研修で「お弁当を企画してください」というワークを行うと、必ず出てくる案があります。
それは「自分で自由に様々なご飯やおかずを組み合わせることができるお弁当」です。
自分好みに選べる!いいでしょう!と提案されます。
では、そんなにいい提案ならば、そのような組み合わせ可能なお弁当はすでにあってもいいはずです。
なぜそのようなお弁当があまりないのでしょうか?
もちろん、オペレーションや容器の準備が大変、といったこともあるかもしれません。
しかし、それ以上に「人は、決めてほしい」のです。
もしも現実にそのようなお弁当があったら、たいていの人は
「いちいち選ぶの?めんどくさいな。普通に唐揚げ弁当とかハンバーグ弁当でいいのに」
と考えてしまいます。
しかし人は机上で考えると「選択肢がたくさんあって選べるほうが嬉しいに違いない!」と考えてしまうのです。
「おまかせ」してほしい
考えてみれば、コース料理やパッケージツアーなど、自分で選べる場合でも「おまかせ」で選ぶことがあなたもあるのではないでしょうか。
人は「選ぶ」ことが自由で楽しいようで、実は不自由で苦痛なことでもあるのです。
選ぶ作業が発生しますし、「失敗したらどうしよう」「後悔したらイヤだな」という心配もあります。
この「どこかにマイル」は「おまかせしたい」というお客様の心理もうまくついています。
そもそもどうしても旅行に行きたい場所があるのなら、それは自腹で航空券を買うか、正規のマイル数で行けばいいわけですから。
「選べた方がいい」「選択肢が多いほうがいい」というのは、マーケティング初心者が陥りやすい罠です。
むしろ「お客様が何も選ぶ必要がなく、迷わずに買えるようにするにはどうすればよいか?」という視点が必要です。
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