※以下は、お取引先の情報保護のため、昨年の私の体験を少々デフォルメしています。
「幸本先生、部下指導って難しいですね…」
指導先で新任の男性係長にそんなことを言われました。
部下を持つようになったものの、過剰に気を使ってしまい、うまく指示や指導ができないのだそうです。
どんな人にとっても、上司になったからといって、いきなり「上司の仕事」ができるようになるわけではありません。
よく「名選手は名監督にあらず」などと言われるように、プレイヤーとしての能力とマネージャーとしての能力は別だからです。
冒頭の相談をしてきた彼は、プレイヤーとしては能力が高い人です。その能力をうまくマネージャーとしても展開すれば、管理職としてもうまくいきそうだと私は思っていました。
その彼が上司として何が問題があるのだろうか?と考え、その原因を探るために、ロールプレイをしてみました。
私が部下、彼が上司として、部下の悩みや相談、不満に答えるのです。
そして、彼が上司として伸び悩んでいる原因がわかりました。
彼は部下の相談や悩みを「解決」してしまっていたのです。
「えっ、部下の相談や悩みを解決してくれるのならいい上司じゃないの??」
そんな声が聞こえてきそうです。
いったい何がいけないのでしょうか。簡単にそのロールプレイを再現してみます。
※テーマは実際に話した内容ではなく架空です。
部下(私)「同僚の○○さんがいつも遅刻して困っているのですが。」
上司(彼)「そうだな、○○さんの遅刻は××が原因だろうから■■してはどうかな。それにもっと▲▲してみてはどうだろう。」
きちんとアドバイスをするいい上司のように思えます。
では、何がいけないのでしょうか。
1)部下は反論できない
上司に「~してはどうか」と解決策を提示されて、あなたは「いや、違うと思います」「それでは解決できません」と反論できるでしょうか。
おそらくよほど良い関係を築いていないと無理でしょう。
このように「解決策」を伝授すると、仮にその解決策が納得できないものであっても、部下は「でも相談したのは自分だし、上司がこうやれって言ったからやらないと…」としぶしぶ実行することになってしまいます。
そうなると部下にとって、自分はただの「作業係」になってしまった、という印象だけが残ります。
2)部下が考えなくなる
このように上司がすぐに解決策を与えると、部下は
「困ったら聞けばいいんだ」
「言われたとおりにやればいいんだ(そうすれば少なくとも自分の評価は下がらない)」
と考えるようになってしまいます。
すると、自分で考えることを放棄し、なんでも上司に相談するようになります。
その結果、いつまで経っても自分で実行できるようにならない…となってしまいます。
では、どうすればよいのでしょうか。
いわばこの裏返しをすればよいのです。
詳しくは次回にお知らせします。
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