よく「自分がされて嫌なことは、他人にしちゃいけませんよ」と言います。
このことについて、知人とこんな話をしました。(公開許可済みです)
「俺は、人から『大丈夫?』って聞かれるのが嫌なんだ」
「へぇ、どうして?」
「なんだか、”とりあえずあなたのことに気を使ってますよ”っていうポーズだけのような気がするんだよな。だったら、具体的に○○しようか?って聞いたり、もしくは実際の行動に移したりしてほしい」
「まぁ、なんとなくわからなくもないけど。確かに人を心配する素振りだけして、何もしない人っているもんね」
「でも、これで困ったことになったんだよ」
「困ったこと?何が?」
「俺は人から『大丈夫?』って声をかけられるのが嫌だから、他人にもそういう言い方はしないでいたんだ。でもある日、妻から『あなたは私が困っているとき、大丈夫、の一声もないじゃない!○○しようか、ってそんなのはどうでもいいの、まずは大丈夫、って声をかけてよ!!』って怒られたんだ…」
自分がされて嫌なことは他人にしない、だから自分が言われて嫌な「大丈夫?」の声がけをしないでいたら、思いやりが足りない、と怒られてしまったんですね。
何が好き/嫌い、良い/悪い、かは人によって異なります。
だからあなたの「当たり前」が他の人にはそうでない、という事態が往々にして起こります。
特にビジネスでは、家族ですらない様々な価値観を持つ人の集まりですから、なおのことです。
経営者が従業員のためにと思った言動が、従業員にはまったくそう受け取られなかった…こんなことはよくあります。
ある経営者は、有望な若手社員を、期待を込めて大型プロジェクトに抜擢しました。しかし、その若手社員には抜擢の意図を伝えていなかったので、社員は「面倒な仕事が増えたな、嫌だな」としか思っていなかったのだそうです。
自分の当たり前は他人の当たり前ではないですし、きちんと言葉で伝えなければ伝わりません。
「ことば化」は他人とのコミュニケーションでとても重要です。
コメント