身近な問題ほど解決が難しい理由

デパートの化粧品売り場は行きづらい?

デパート化粧品ブランドに勤務していたころのこと。

女性にデパート化粧品ってどう思いますか?と聞くと、たいてい返ってくるのが、

「好きだけど、美容部員に買わされそうで行きづらい」

という答え。

化粧品メーカー側からすれば、美容部員は、きちんとした専門トレーニングを受けた、美と自社製品のプロフェッショナルです。

ブランドのいわば「顔」ですから、お客様に失礼な態度を取ることはありません。
いりません、と言われたら、無理に買わせるようなことは絶対にしません。

もちろん売上目標などもあるため、多少は売りたい!という気持ちが前に出てしまうこともあるかもしれませんが…。

にもかかわらず、そういったプロのアドバイスを利用せずに「買わされそう、行きづらい」で済ませてしまうのは非常にもったいないなあ、と思いました。

しかしこれは、化粧品メーカー側にいる私の意見にすぎません。

「美容部員はプロだよ、いろいろアドバイスがもらえるんだよ、うまく利用しないともったいないよ」

とこちらなりの”正論”を言ったところで、「いや、そうは言っても…」と返されるのがオチでしょう。

身近だからこそ気付かないものがある

このように、”身内”側の意見と、そうでない客観的な意見は異なるのが一般的です。

これは研修を通じても同じことを感じます。

研修ではよく「1.基礎理論→2.一般事例→3.あなたの企業の事例」というパターンで進めます。

例えば以下のような流れです。
1.問題解決にはゴール設定が重要です
2.体重増に悩む人がダイエットするとしたらどんなゴール設定がよいでしょうか
3.ではあなたの仕事でもゴール設定してみましょう

このとき、1→2まではできる人が、3になるととたんにできなくなってしまいます。

もしくは、それまでの1→2の流れをまったく忘れて、オリジナルのやり方で3に取り組む人すらいます。

私にとっての「美容部員の存在」のように、「私の仕事はこういうもの」という無意識の思い込みが邪魔をしてしまうのでしょう。

だから、1→2までは完璧な「デキる人」が、3の自分の仕事をテーマにしたとたん、ものすごく視野が狭くなったり、つい「いつもの」「とりあえずの」やり方でお茶を濁して終わることが多々あります。

このように、身近な問題ほど解決が難しくなる事象は珍しくありません。

身近な問題こそ、その分野に詳しくない他人に意見を聞いたり、別の角度から考えたりといった工夫が必要になります。

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