俯瞰で見る

化粧品マーケティングを選んだ理由

私は会社員時代、化粧品のマーケティングを行ってきました。

意図したわけではありませんが、その後の仕事も含めて考えると、この選択は非常にラッキーでした。

私が化粧品会社のマーケティング職を選んだ理由は、もともとマーケティングを学んでいたこともあり、

「特に化粧品は、同じような商品でも値段が10倍することもある、不思議な商材だ。だからマーケティングのエッセンスが詰まっているに違いない」

と考えたからです。

もちろんこれはこれでその通りで、私にとって非常に大きい経験となりました。
(それについて書き出すときりがないのでまたいつか別件にて。)

化粧品マーケティングでラッキーだったこと

そして、化粧品のマーケティング職は、それ以外にも私のキャリアにとって予期せぬ良い点がありました。

それは、

自分がユーザーになれない

ことです。

私と同じ一橋大学卒の某広告代理店の方が、書籍でこんなことを書いていました。(私なりの要約です)

「自分がユーザーとして扱う商品を知ったり、使ったりしたとき、どの点が良いと思ったか、気になったかを覚えておこう」

「なぜなら、一度知ってしまうと、『それを知らない』状態には戻れないから」

これは本当に、マーケティングをする上で気をつけないといけない点です。

プロがユーザーの気持ちになることは難しい

仕事をしていると、ある意味その商品について一日8時間くらい考えていることになります。

しかし、たいていのユーザーや消費者にとって、その商品やカテゴリーは「自分の人生における数百万の中の商品のひとつ」に過ぎません。

たとえば私も、「女性は常により良いファンデーションがないか探している」ことを前提にして考えてしまっていることがありました。もちろん、そんなことはありません。

このように、一度「プロ」になってしまうと、「素人」の目線に戻ることはそう簡単にはできません。

だからこそ、「いいものなのに売れない」のような思い込みが起きてしまうのです。

少し脱線しましたが、私にとって化粧品がマーケティングをする上でなぜよかったかというと、私が化粧品の「ユーザー」ではないことが挙げられます。

スキンケアくらいならしますが、それでも女性と肌質や悩みは違います。口紅やファンデーションは日常生活で使うことはありません。

だから、化粧品について「自分が感じる悩みや不満、要求」がありません。

これがかえって、フラットかつ冷静にマーケティングをするよい機会だったと思います。

マーケティングであれば領域は不問

そのため私は現在、「どんな商材でもマーケティングをすることができる」と胸を張って言うことができます。

人によっては、マーケティングの専門領域がある、と思ってらっしゃる方がいます。もちろんそのような要素もあるにはあるのですが、基本という点では同じです。「経理」であれば、製造業と小売業とで多少の違いはあってもどの会社でも大差がないのと同じことです。

そしてこの化粧品のマーケティング経験は、コンサルタントとして何事も「俯瞰で見る」ことに役立ちました。

企業の方は、良くも悪くも自社商品について思い入れがあり、良し悪しもわかっています。だからこそ逆に一般のユーザーや顧客の視線からは離れていることがあります。

それに対して私は、化粧品のマーケティングのように、その企業や商品を客観的かつ冷静に見ることができます。自分がユーザーじゃないからわからない、知識がないからわからない、となることがありません。

こう考えると、化粧品のマーケティングを経験したことが、私の今のコンサルタントという仕事につながっているのかもしれない、と思いました。

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