マニュアルを笑う者はマニュアルに泣く

自動車ディーラーの接客で…

現在、車の買い替えを検討しています。

某国産車メーカーのディーラーに行きました。

…が、非常に残念な接客でした。

  • 好きなのを見てよ、という態度で、まともなヒアリングがない。
  • 専門用語が多い。そのメーカー独自の用語を使われても、全部の客が知っているとは限らない。
  • (ディーラーではなくメーカーの問題ですが)ひとつの車種でも種類やオプションが多すぎる。選ぶ前に選ぶ気をなくしてしまう。

以上はもちろん主観的な内容も含んでいます。
「むしろ放って置いてほしい」
「そのくらいの専門用語は知っていて当然」
「選ぶのが楽しいのに」
という人もいることでしょう。
単に私が「合わなかった」だけかもしれません。

マニュアルを重視する外資系

私は外資系の高級化粧品ブランドのマーケティングを長年担当していました。

一般に外資系は、接客などのサービスで「マニュアル」を重視します。
(私がいた高級化粧品業界は、国産でもマニュアルは重要でしたが)

マニュアルというと、味気ない、人間味がない、型どおりでない接客のほうが大事…

そんな風にネガティブなイメージがあるかもしれません。

しかしマニュアルとは、行動を縛るものではなく、「質を一定に保つもの」です。

マクドナルドで「お客さんはレアが好きそうだからレアで焼いておきました、あなたはウェルダンね」と店員が勝手に焼き加減を変えたらどうでしょう。そんな店には二度と行きたくないことでしょう。

一定の品質をマニュアルで保っているからこそ、私たちはマクドナルドに安心して行くことができます。

「サービス」もそうです。自分がいいと思うサービスが相手にとってもいいとは限りません。

自動車ディーラーの店員が「私が客だったらほっとかれたいから、客はほっときますね」と判断したらどうでしょう。多くの見込み客を逃してしまうに違いありません。

だからこそマニュアルで「どのようにお客様を迎えるか」「どんな質問を、どんなタイミングで、どんな言葉でするか」などを事細かく決めておくのです。

マニュアルはゴールではなくスタート

マニュアルは味気ない、体験で覚えろ!というのは、料理をしたことがない人にいきなりカレーを作れと言うようなものです。マニュアル=レシピ通りに作れて、そこから初めて「辛口が好きだから唐辛子を足そう」などの応用が可能になるのです。

もちろん「日本は」「日本企業は」などと大きく一概には言えませんが、マニュアル=味気ないもの、とネガティブに捉える人が多いような気がします。

マニュアル接客だからダメだ!と断言する人もいます。

しかし「この人は会話を重視するのか、放って置かれたいのか」を雰囲気だけで察知することはできません。

だからこそ最低限の満足を保証するためのマニュアルは有効なのです。

(たとえば「放って置かれたい人だったら話しかけないようにする」と規定することもマニュアルの一つです。)

マニュアルとはいわば最低限の品質や接客を保証する「スタート地点」です。

マニュアルをマスターして、そこからようやくマニュアルにない項目はどうするか、という応用問題に取り組むことができるようになるのです。

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