Youtube「ブランディングは今すぐやめなさい」テキスト掲載

Youtubeに「ブランディングは今すぐやめなさい」シリーズの動画をアップしました。

字幕をつけてはいるものの、動画はまどろっこしい!テキストで読みたい!という方もいらっしゃるかと思います。以下、私の解説内容の書き起こしです。

001 ブランドは「結果」 ~ ブランディングは今すぐやめなさい

ブランディングは今すぐやめてください。
なぜならブランドは「結果」だからです。

ブランド、ってなんだかいい響きですよね。高く売れそう。安売り競争に巻き込まれない。そんなイメージです。
だからこそ、ブランディングをしてはいけません。それはなぜかをお話しします。

ブランドってすごく簡単に言えば、「いい人」みたいなものです。
「あの人って信頼できるよね」とか「あの人いつもいい仕事するよね」とかそんなイメージを持つ人っていますよね。
そんな人は信頼が高まって、そしてちゃんとその信頼にこたえてくれて、ますますいい人、と評判になる。そんなイメージです。

では「私、いい人です」とか「私、いい人になろうとしてます」とか自分で言う人のこと、あなたはどう思いますか。
自分のことをいい人って言ったり、いい人になろうとしているって言ったりする人は、信頼できませんよね。
いい人かどうかは、これまでの言動の積み重ねで、あの人はいい人だ、と評判になるわけです。

これはブランドも同じです。いいブランドを作るぞ、なんて会社は信用できません。
あの会社の製品は丈夫で壊れにくいよね、とか、かっこいいよね、と評判や実績が積み重なって、ブランドになっていくわけです。

ブランディングをする、というのは、「私はいい人になろうとしています」と言っているようなものです。そうではなく、日々の積み重ねで、結果として、ブランドになるのです。
だから、ブランディングをしてはいけません。

002 「ブランドだから高く売れる」は誤り~ ブランディングは今すぐやめなさい

ブランディングは今すぐやめてください。
「ブランドだから高く売れる」と思っていませんか。それは誤りです。

私自身、いわゆる「高級ブランド」でマーケティングをしていました。そこでよく、こんなことを言われました。
「あなたのところは高級ブランドだから殿様商売でいいよね。ブランドだから、高く売れるもんね」
実はこれは、正しくありません。どこが正しくないのでしょうか。それは「高級ブランドだから、高く売れる」です。

「いやいや実際そうじゃないか、高級ブランドだから高く売れるでしょ。だから私もブランディングしたいんだよ」そんな声が聞こえてきそうです。

しかしこれは、因果関係が逆です。「高級ブランドだから高く売れる」のではなく「高くても売れる信頼や実績を積み重ねてきたから、高級ブランドと認識されるようになった」のです。

高級ブランドは、なぜ高級ブランドなのでしょうか。私が今日から、手作りのバッグを1個100万円で売ったら、それは高級ブランドになるでしょうか。もちろんなりませんよね。高級ブランドは最初から高級ブランドだったのではなく、品質が良いなど、高くてもほしい!と思われるようになったから、高級ブランドになっていったのです。

ですから、「高級ブランドだから高くても売れる」のではなく「みんなが高くても欲しいと思う製品を作ってきた、だから高級ブランドになった」が正しいのです。

ブランドはあくまでも「結果」です。「ブランディング」という行為が不自然でおかしいのはそのためです。
だから、ブランディングをしてはいけません。

003 そのブランドは「ブランディング」しましたか ~ ブランディングは今すぐやめなさい

ブランディングは今すぐやめてください。
ブランディングによってつくられたブランドはないからです。

もしかしたらあなたはブランディングしたい!ブランドになればうまくいく!と思っているかもしれません。
では、あなたが知っている「ブランド」を思い浮かべてください。
シャネルやエルメスなどのいわゆる高級ブランド、フェラーリやメルセデスといった自動車のブランド、ほかにもコカ・コーラやスターバックスなどが思い浮かぶかもしれません。

では質問です。それらのブランドは、「ブランディング」をしたでしょうか?
それらの会社の人が、直接、我が社はこんな風にブランディングしています、と言っているのを聞いたことがあるでしょうか。おそらくないと思います。

これに対して「いや、表には出していないだけで、そういったブランドも、内部ではブランディングしているのだろう」と思うかもしれません。しかし、少なくとも私自身、いわゆる高級ブランドにいましたが、「ブランディング」という言葉は使わなかったですし、ブランディングを意識したことはまったくありません。

なぜなら、高級ブランドは「こういう存在になろう」「こういう価値をお客様に提供しよう」、自動車であれば「私たちの車を運転することでこういう気分や価値を感じてもらいたい」などと思うことはあっても、漠然とした「ブランディング」なんて言葉を使うことはないからです。

ですから、例で出した会社の人にあなたはどんなブランディングをしていますか?と聞いたら、私はブランディングなんてしていません。と返って来るのがオチです。というか私ならそう返します。

ブランディングでブランドにはなれません。
だから、ブランディングをしてはいけません。

004 ブランディングは「ごまかし」用語 ~ ブランディングは今すぐやめなさい

ブランディングは今すぐやめてください。
ブランドやブランディングは「ごまかす」ため、もっとストレートに言えば「インチキ」のためによく使われる用語だからです。

我が社はブランディングのお手伝いをしています!ブランディングのコンサルタントです!という会社が世の中にはあるようです。
だから「ブランディング」という行為があるじゃないか、存在するじゃないか、と思うかもしれません。

そういった会社が「ブランディング」という言葉を使うのはなぜでしょうか。
それは、何をするのかごまかせて成果を問われないからです。

もし「売上を上げます」という会社であれば、売上が上がらなかったときに「売上が上がっていないじゃないか!」と文句を言われます。
しかし「ブランディング」ならどうでしょう。売上が上がらないじゃないか!と責められても、「ブランディングの効果が現れるのは時間がかかります」などと、ごまかすことができます。

そしてもし売上が上がったら「我が社のブランディングの成果です!」と胸を張って言うことができます。
このように成果があってもなくてもおいしいところどりができる、だから「ブランディング」などと言うのです。

でもそれっていわゆるコンサルティングと同じじゃないか、と思うかもしれません。
しかしコンサルティングは効果を測定できます。そのためシビアに判断されます。
それに対してブランドは「前よりよいブランドになったか」を測定することは困難です。だから「ブランディングは長期的に効果があるんですよ」などとはぐらかされます。

ブランディングはそれをした効果があったかを測定することが非常に困難です。
その企業が成功したらブランディングのおかげ、失敗してもブランディングのせいではない、とされがちです。
だから、ブランディングをしてはいけません。

005 ブランディングで社内はバラバラに ~ ブランディングは今すぐやめなさい

ブランディングは今すぐやめてください。
ブランディングをすると社内の意見がバラバラになり、かえって失敗するからです。

ブランディングといえば聞こえはいいですが、最終的な実務は社員のひとりひとりが行うはずです。
では、その「ブランディング」とやらにそって、社員が全員同じ方向にそって一致団結することができるでしょうか。マーケティングにおいて大切なのは「一貫性」です。

一つの商品の特徴について、ある社員は「便利さ」、ある社員は「安さ」、ある社員は「見た目のカッコよさ」がいいんだ、とそれぞれ思っていたら、どうでしょう。
各社員のやることがバラバラになって、その商品に対して一貫したマーケティングをすることができません。

だからブランディングで統一したイメージを持たせるんだ。それで一貫したマーケティングができるようになるんだ。そんな風に思うかもしれませんが、本当でしょうか。

ブランディングは誰かが人為的に行うわけです。「この商品はこういうブランドで、こういうイメージなんですよ」と設定されるわけですね。それに対して社員全員が納得できればよいのですが、そううまく行くでしょうか。「この商品は身近なところがいいよね」と思っていたのが、突然「高級感を出すブランドになりました」と言われて、はいそうですか、と納得するでしょうか。

仮に表面的に納得できたとしても、根底にあるイメージと、ブランディングによるイメージが違いすぎたら、一貫したマーケティングをすることはできません。高級レストランに行くために高級なドレスを着飾ることはできますが、テーブルマナーは一朝一夕では身に付きませんよね。それと同じです。

ブランディングをしても、それで社員全員のイメージが一致し、統一感のあるマーケティングができる、なんてことはまずありません。
社員が感じる商品のイメージはそう簡単には変わらないからです。
だから、ブランディングをしてはいけません。

代表・幸本陽平 プロフィール

幸本 陽平
幸本 陽平
化粧品デパートのマーケティング業務に携わり、その後独立。
研修や執筆、マーケティングをわかりやすく伝えるための活動などに取り組む。

(株)東風社代表取締役 中小企業診断士 一橋大学卒
広島市在住、新潟県長岡市出身

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