万博に行きました

9月2日(火)、大阪・関西万博に行ってきました!
当日の一般来場者数は13万8,000人だったそうです。
猛暑はこたえましたが、帽子・日傘で防御し、ベンチや無料給水所も多くあったので、体調を崩すことなく楽しみました。
全体を通じて、面白かったです!
初の万博で勝手がわからず、予約していた「未来の都市」以外は、あまり行列の長いパビリオンには入れませんでした。
それでも、個性的な建築のパビリオンを眺めながら散歩しているだけでも興味深かったです。
万博といえば未来、ですが…
持って行ってよかった持ち物や、面白かったパビリオンなどはまた別の機会にまとめるとして、ここでは私が万博を通じて気づいたことを書きます。それは、
「万博、未来感なくない??」
です。
もちろん「万国博覧会」ですから、必ずしも未来を提示しなければならないわけではありません。しかし、万博というと「これから、こんな未来になるよ~」という未来予想図を提案してくれる、というイメージがありますよね。
もちろん、万博にはそういうパビリオンが多数あり、私も前述の「未来の都市」を含め、いくつか観覧しました。
中には、水と二酸化炭素を人工的に光合成させて酸素を作り出すなど、未来にこんなことできたらすごいだろうな~と思わせるものもありました。
しかし、それ以外のたいていは
「こんな未来予想、私の子供の頃もしていたような?」
「仮にそれが実現できても、それって『やりたい』かな?」
と思うことばかりでした。
たとえば「キッチンにディスプレイがあって、前日のメニューなどから今日のメニューを提案してくれる、カレーが作りたいといえばカレーのレシピを教えてくれて、さらにネットスーパーに注文してくれる」のようなやつです。
これらは、まあ、今まったく同じではないにせよ、ほぼ同じようなことはすでにできますよね。
健康は確かに大事だけど

こういう未来予測系では定番の「健康状態を把握し、それに応じた運動や栄養を提案してくれる」なんかもよく見ました。
…いや、そりゃまあ、健康状態にかかわらず、運動や栄養が大事なのはわかるんですよ。
でも運動したくないときもありますし、栄養なんて気にせず二郎系ラーメンをがっつり食べたいときもありますよね。
技術によってそれが「できる」ことと、それを「したい」ことはまったく別なんです。
こんな風に、未来予測全般が「こじんまり」している、もしくは「できるかもしれないけどしたくない」ものばかりで、昔のような「未来へのワクワク感」があまりありませんでした。
昔の未来予測というと、チューブの中を車が走って…とか、空を飛んで通勤通学して…とか、「いかにも」感があったのですが、今回の万博の未来予測は、いい意味でも悪い意味でも現在の延長の、現実感があるものばかりでした。
いつの間にか人が気軽に空を飛ぶことはあきらめて(「空飛ぶ車」の展示パビリオンはありましたが)、「未来はドローンが家に買い物や薬を配達してくれる」という現実的な路線に落ち着いています。
55年前のサザエさん、今とそんなに変わらない
ここでふと思い出したのが、先日のサザエさんの放送です。
サザエさんが55年前の大阪万博に行った回を、55年前当時そのままで放送していました。
それを見て私は「あれっ、思ったほど昔っぽさがないな。今とあまり変わらないな」と思いました。
55年前、というのは私にとっては「はるか昔」というイメージです。
しかし実際のサザエさんを見ると「そこまで昔ではない」と感じたのです。
もちろん万博をテーマにした回なので、当時からした「未来」を描いている、だから「今」っぽい、というのはあると思います。しかし、「昔っぽくない」理由はそれだけではありません。
55年前はこんな生活をしていた

55年前、すなわち昭和45年=1970年の生活はだいたいこんな感じです。
(ただし一部はAI調べ)
・高度経済成長のピーク。
・三種の神器、冷蔵庫・洗濯機・テレビが普及している。
・テレビ、映画、音楽、スポーツなどの娯楽が普及。
・外食チェーンはまだ少ない。マクドナルド1号店は1971年。
・満員電車、通勤ラッシュが社会問題に。
・新幹線は開業済(1964年)。ただし東海道新幹線のみ。
…ということで、ざっくり言えば、1970年の社会や生活は、2025年の私たちとそこまで大差ないのです。
当時、多くの人は、「ご飯を炊くためにかまどで火を起こし…」「洗濯は洗濯板で…」「風呂は薪をくべて…」という生活はすでにしていませんでした。もちろん個人差・地域差はあるでしょうが。
しかし、1970年というと、私が生まれる前。
人はおそらく、自分が生まれる以前を「ものすごく昔」とざっくり認識してしまうのではないでしょうか。
以前、20代の女性アナウンサーが1960年代、70年代を「バブルの頃ですか?」と言っていて、私は椅子からひっくりかえってしまいました。しかしこの20代アナウンサーにとって、80年代も60-70年代も「自分が生まれる前、ものすごく昔のこと」であり、ざっくりとくくってしまったのでしょう。
そのため、私も自分が生まれる前の1970年を「ものすごく昔」とざっくり認識していたのです。
しかし、基本的なライフスタイルは今とそう変わらないのだな、とサザエさんを見て気づきました。
前回の万博から、私たちの生活はそれほど変わっていないのでは?

と、いうことはです。
私たちの生活は、この55年間でそこまで変わっていないと言えるのではないでしょうか。
もちろん、情報通信の部分では、インターネットを初めとして、かなり変化しています。
携帯電話やテレビ電話が当たり前になり、電車のきっぷも明日必要な日用品もひとり一台の機械から買えるし、その機械で映画も見られる、カメラにもなる、なんて機能は55年前から見たらSFレベルでしょう。
しかし逆にいえば、それ以外の生活はあまり変わりません。
・学生は学校に通って学び、
・食事はスーパーで買って家で作り、
・病気になったら病院に行き医師の診察を受け、
・移動はガソリン車を自分で運転、または電車や地下鉄やバスに乗り、
・主なエネルギー源は発電所で作って電線で運ばれた電気で、
…などは、今も55年前もほぼ一緒です。
特にエネルギー面、「人や物を動かす・運ぶ」ことについては、そこまで劇的な進化はありません(特に空)。情報やデータの処理はどんどん進歩しますが、やはりリアルなモノを動かすことについては進化の限界があるのでしょう。データについては当時の数万倍・数億倍の処理が可能ですが、自動車の燃費はよくてせいぜい2-3倍ではないでしょうか。
2080年、今とほぼ一緒?

ということは、「あれ、今の55年後の2080年も、生活は今とそこまで変わらないのでは??」となんとなく予想がついてしまうわけです。
そうなると、万博の未来予測も「安全パイ」が多くなります。
自動運転車が増えて事故が減る、家にバーチャルアシスタントロボットがいる、トイレで自動的に健康状態をチェックする、などの、
「予想の範囲内だな」
「うーん、それって私が子供のころもそんなこと言ってたけど?」
「なんか地味だし、それって本当に必要?より良い未来なの?」
と感じることばかりになります。
ネタバレになりますが、私が訪れた「未来の都市」では、観客がスマホで投票して未来を選ぶ、というイベントがあります。
その中の「食」に関して、選択肢の一つが「家と家がバーチャルにつながれて、(細かい仕組みは忘れましたが)同じものを食べて、まるで一緒に食卓を囲んでいるような気分になれる」というものがありました。
えーっと…これって、いわゆるZoomの「オンライン飲み会」ですよね?
それのさらにリアル版、ですよね??
Zoomのオンライン飲み会がコロナ禍を経て下火になったように、これってそんなに「やりたい」かな…と思ったのが正直なところでした。
こんな風に、万博の未来予測が全体に「こじんまり」していること、前回の万博のころと今を比較して「未来はそう大きくは変わらない」ことに気づいてしまったこと、両方を実感してしまったのでした。
※ただしこれは、私が年をとって、感受性が鈍くなっただけかもしれません笑
個別の技術ではまだまだ革新がありそう
だからこそ、気になったのは個別の技術の方でした。
たとえば農業。もちろん「野菜工場」などは進化して広がっていくと思われます。そうは言っても、米や芋、その他の作物については、大規模な畑に種などをまき、収穫して、の方がしばらくは効率がよいことは間違いないでしょう。そのような農業の基本の部分は、おそらく今後55年間、大きくは変化しないと予想されます。
ということで、理想先行の野菜工場や都市型農業などよりも、クボタのこのような農業用ロボットのほうが気になりました。
クボタ、「食と農」をテーマに2台の未来の「汎用プラットフォームロボット」を展示
https://www.kubota.co.jp/news/2025/others-20250310.html

情報やデータに関することは、突然「新しい未来」が出現することもあります。
近年は、生成AIの登場・普及がそんな感じでしたね。
しかし、具体的な「モノ」に関することは、そう簡単には変化しない、がこれまでの55年で感じたことです。
絶対はありませんが、今後55年も「モノ」の進化はこれまでと変わらない、むしろゆっくりになっていくことでしょう。
未来は誰にもわからない

とはいえ、未来は突然予期せぬところからやってくるものです。
私たちも20年前、「ああ、かまぼこ板くらいの大きさで、インターネットにつながるタッチパネル式ディスプレイの携帯電話があればいいなあ」と考えたわけではありませんでした。
未来は基本的に今の延長でちょっとずつ進む。
でも突然、誰も予想できないような大きな変化をすることがある。
と思っておいたほうがよさそうです。
こんな風に「未来はそんなにワクワクしない」と良い意味でも悪い意味でも思ってしまった、そんな万博でした。
参考 → 12年前の未来予測は当たっているのか? ~2019年のビッグマック~
https://www.tofusha.co.jp/2020/01/22/bigmac2019/



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