
今回は、マーケティングや経営を行う上で知っておくべき、人間の心理のポイントを2つご紹介します。
「損をしたくない」が人を動かす
「この商品を使えば、○○が良くなります」
「導入すると、生産性が○%アップします」
こうした「メリット訴求」は王道の伝え方です。
しかし、一般的に人は、“得をする喜び”よりも、“損をする痛み”の方に強く反応する、と言われます。
これを「損失回避性(loss aversion)」と呼びます。
たとえば、あなたが営業担当だとして、
「このシステムを導入すると、業務が20%効率化します」
よりも、
「導入しないと、同業他社に比べて20%の時間をムダにしています」
と伝えた方が、相手の心に響くかもしれません。
🔹ビジネスへの応用
キャッチコピーや広告文を「~しないと損」に変えてみる
(例)
・「使うと得」→「使わないと損」
・「導入でコスト削減」→「導入しないと、こんなムダだらけ」
・「今ならおトク」→「来月には値上がりします」営業トークで「ウチって損してるんだ!」と気づかせる
直接に「買わないと損ですよ」と言うと反発されかねないので、
「導入してくださったA社からは、なんでもっと早く導入しなかったんだ、そうすれば○万円は節約できたのに!…と言われました」
と間接的に「しないリスク」を伝える社内での連絡やお願いにも
新しい仕組みを導入したいとき、
「これを導入してください、便利ですよ」よりも、
「導入しないままだと手間が増えますよ」
という伝え方のほうが、合意を得やすくなります。
「途中ではやめられない」心理の罠
「ここまで時間をかけたのに、やめるのはもったいない」
「せっかく広告費を投じたから、もう少し様子を見よう」
ついこんな風に考えてしまいます。
一度費やしたお金や労力を「取り戻そう」として引き返せなくなる、
これをサンクコスト効果(sunk cost effect)と呼びます。
サンクコストとは「もう戻ってこない費用」のことです。
だから、「これからリターンが見込めるかどうか」を考える際、本来はサンクコストを考慮すべきではありません。
もう戻ってこないのですから。
しかし、人は過去の投資に引きずられて、「せっかくここまでやったんだから…」と判断を誤ってしまいます。
🔹よくあるビジネスでのサンクコスト例
成果が出ない広告を「もうちょっと続けたらよいのでは」と続けてしまう
期待外れのプロジェクトを「ここまで準備したから」と進め続ける
- 新しい機械に替えたほうが効率がよいのに、
最近買った低性能の機械を「せっかく買ったから」と使い続ける
🔹ビジネスへの応用
サンクコストを知り、未来を基準に判断する
「これまでどうだったか」ではなく、「これから得られる価値はあるか?」で考える。
打ち切る勇気が必要です。逆に顧客のサンクコスト心理を活用する
サブスクや会員制ビジネスでは、顧客に「せっかく続けたのだから解約しないでおこう」と思ってもらえる仕組みを設定します。
たとえば、「連続達成バッジ」や「○日連続ログインボーナス」などを設定することで、「解約したらリセットされちゃうのか、じゃあもう少し続けようかな」と解約を防ぐことができます。自社の商品にも
「シリーズをそろえると完成する」「継続すると特典がもらえる」といった仕掛けもサンクコストを活用しています。
継続をやめにくくする仕組みとして、サブスク以外の業態でも活用できます。
「損をしたくない」「途中でやめられない」心理を理解する
人は得よりも損に心を動かされる
ただし、「脅し」にならないよう注意!人は「途中でやめたら損」と思うとやめられない
続けるインセンティブを与える
この2つをマーケティングや経営に役立ててください。



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