【価値交換フロー】008 なぜ売買ではなく「交換」か

価値交換フローは、顧客にとっての価値とその価値を交換する仕組みを整えることで、次に取るべき行動を明確にする実行型フレームワークです。 自社のマーケティングのどこが不十分なのか、お客様が買わない原因はどこにあるのかを的確に突き止められるため、「マーケティング実務の普遍的な基盤」として、新規事業の立ち上げや、既存商品の立て直し、施策の優先順位付けなど、規模や業種を問わずさまざまな場面で活用いただけます。
私たちは価値を交換している
マーケティングについて、「売る・買う」という言葉はよく使われます。
それに対して、「交換」という言葉は少しイメージが湧きにくいかもしれません。
価値交換フローにおける「交換」は、単なる「売買=商品とお金の交換」だけでなく、もう少し広い意味を持っています。マーケットという場所では、企業とお客様の間で、お金だけでなく「情報」も常にやり取りされています。それらを含めた広い概念である「交換」について、今回は全体像をお話しします。
「手に入る状態」を作る
一つ目の柱は、いわゆる「商品の交換」です。
これを単なる売買作業としてとらえるのではなく、「どうすればお客様が、その商品とお金を適切に交換できる場や状況を作れるか」という視点で考えてみてください。
どんなに素晴らしい価値を持つ商品であっても、それがお店になければお客様は手に入れることができません。また、同じお店に並んでいても、棚の奥にひっそりと置かれているのか、それともレジ横の目につきやすい場所にあるのかで、交換のしやすさは大きく変わります。
これらは4Pのいわゆる「流通」に該当します。お客様がその価値に触れ、自分のものにできるルートを整えること。これができて初めて、価値をお客様に提供することができます。
価格は「どのようにお金をいただくか」
交換において、もう一つ欠かせないのが「価格」です。
当然、価値に対して価格があまりに高ければ交換は成立しませんし、単純に「安ければいい」という話でもありません。安すぎれば「本当に大丈夫か?」と不信感を抱かれることもあります
さらに、「価格」では、金額の大小だけではなく、お金のいただき方自体も広く考えます。例えば、
- プリンター本体を安く提供してインクで収益を上げるモデル
- 毎月定額で利用するサブスクリプション
これらは「交換」における、お客様が納得して価値を受け取れるようにするための「価格」の工夫です。
単なる価格決定(いくらにするか、高いか、安いか)ではなく、どのような形でお金をいただくことがお客様との良好な交換につながるのかを考えます。
情報も「交換」する
価値交換フローで特に強調したいのが「情報」の交換です。
企業とお客様は、商品とお金だけでなく、情報もやり取りしています。
例えば、市場調査(リサーチ)はお客様の情報を手に入れる行為ですし、反対に広告宣伝は企業側から「ここにこんな良いものがありますよ」と情報を届ける行為です。
どんなに価値のある商品を揃え、交換の体制を整えていても、お客様がその存在を知らなければ、一生出会うことはありません。存在を知らせ、興味を持っていただき、買いたいという気持ちになっていただく。そうなってようやく商品がお金と交換される、すなわち売上になります。
一方、市場調査などでお客様の「情報」を企業側が知ることもかかせません。情報のやりとりも、決して一方通行ではなく、「交換」で考えます。
スムーズな交換ができているか
これまでは4Pのフレームワークで個別にとらえられていた流通・価格・広告宣伝を、私はあえて「交換」という一つの概念に集約しました。
- 価値をしっかり整えたら、次はその価値をどうやってお客様に届けるか。
- 商品、お金、情報……これらがお客様との間で適切に交換できているか。
価値交換フローは複雑なようでいて、このような「価値」の「交換」に集中する、極めてシンプルかつ「使える」マーケティングメソッドです。
次回は、この交換の中でも特に「商品交換」に焦点を当てて、さらに深く掘り下げてみたいと思います。


