【新規事業×高価格×地方029】生活者の「痛み」から始めるマーケティング。「生々しい、リアルな独り言」を捕まえよう

そんな言葉、あなたは使いますか?

仕事をしていると陥りやすい「罠」があります。
おそらくあなたは、仕事に一生懸命に取り組んでいるはずです。
すると、いつの間にか、知らず知らずのうちに売り手側にとって都合の良い言葉に慣れてしまうのです。

シャンプーを例にすると、自社のシャンプーをアピールしようとして、つい
「上質な」「補修成分」「機能性」
といった、きれいで整った言葉を選びがちです。
しかし、こうした言葉は、あくまでも企業側の視点に過ぎません。
買い手である生活者の心にはなかなか響かないものです。

なぜなら、生活者はそんなきれいにパッケージされた言葉を日常では使わないからです。

「都合の良い言葉」に染まっていませんか

長年同じ業界に身を置いていると、社内で日常的に使われる専門用語や、競合他社も使う耳ざわりの良いフレーズを「普通」「定番」と思ってしまいがちです。

たとえば、ヘアケアならば「キューティクルケア」「高機能ダメージ補修」といった表現です。
これらは確かに商品のスペックを正しく表しているのかもしれません。
しかし、どこかお決まりの手あかがついた表現で、買い手の心に訴える言葉ではありません。

企業側は「これだけ成分や機能を網羅していれば伝わるだろう」と考え、お決まりのフレーズを並べます。
しかし、生活者が求めているのは、ありきたりなフレーズや成分のスペックではありません。
「自分たちの日常の、具体的な問題を解決してくれるかどうか」
こそが重要なのです。

ここに、企業と生活者の大きなギャップが生じます。

「生々しい独り言」にこそ生活者のリアルがある

では、生活者の心に響く言葉とは何でしょうか。

それは、生活者が日常の中でふと漏らす、生々しい本音や独り言です。

市場調査をして「ダメージ」「パサつき」といったキーワードの出現回数を数える…こともときには大事ですが、これだけでは生活者の本当の心中はわかりません。
本当に大切なのは、その言葉が語られる文脈を個別・具体に読み解くことです。

顧客が本当に困っている瞬間を観察しましょう。
すると、そこにはありきたりな表現ではなく、もっと切実な言葉があるはずです。
たとえば「髪の水分量が不足している」ではなく、
「夕方になると頭皮がアブラでギトギトになる」
「湿気で髪が爆発して、鏡を見るたびにイライラする」

といった、リアルな日常の強烈な不快感、さらにそれを表す言葉こそが、真の生活者の声です。

このような、生々しい実感をとらえなければなりません。

スタートは「ジャンル」ではなく「ペイン」

多くの商品開発は、まず「このジャンルの商品を作ろう」からスタートし、そこからどんな機能やスペックがよいか、という順番で進みがちです。
しかし、生活者のリアルな実感から出発するとその構造は逆になります。

まず、世の中にある「解消したいペイン(不快や悩み)」をビジネスのスタート地点とします。

たとえば
「高級なアミノ酸系シャンプーというジャンル」ではなく、
「夕方のあの嫌な頭皮のベタつきを、瞬時にリセットする体験」
を最上位の提供価値として定義します。
それに応じて、商品名もキャッチコピーも、その価値が生活者の頭の中にはっきり浮かぶような表現に統一します。

主役は商品そのものではなく、「顧客の困りごとが解決される瞬間」です。
この軸をブレないようにすることが大切です。
それによって、シャンプーだけでなく、トリートメントやヘアミスト、さらに頭皮用クレンジングといった別のアイテムへ展開したときにも、生活者は「そうそうこれこれ、自分のための商品だ」と直感的に手に取ってくれます。

綺麗な言葉は不要です

発信しているメッセージが、思ったように生活者に響いていない…。
こう感じるときは、そのメッセージが整いすぎていて、「そうそう、これこれ」といった心からの共感を得られていないのかもしれません。

自分達の「普通」をいったん脇にやり、顧客が実際に、もしくは心の中でつぶやいている言葉そのものに耳を傾けてみましょう。

「なくてはならない存在、私にぴったりだと選ばれる商品」に変えるためには、
「自社が伝えたいきれいな言葉」ではなく、「生活者のリアルな実感」をそのまま提示しましょう。

 

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