なぜ、顧客のアクションにつながらないのか?

自社のWebサイトやランディングページ(LP)を運用していて、こんな悩みを抱えていないでしょうか。
「月間10,000PVを超えている。しかし、問い合わせフォームからの送信は月に2件しかない」
「Web広告に毎月50万円を投入している。にもかかわらず、問い合わせや商談につながりにくくなっている」
このように、Webサイトのアクセス数が増えているのに、購入や問い合わせにつながらないケースは珍しくありません。
なぜ、閲覧数が増えても成果につながらないのでしょうか。
その理由の一つは、「商品の魅力を伝えること」と「読者が購入・問い合わせを決断すること」は別だからです。
商品の機能や特徴を一方的に説明するだけでは、読者は
「自分に必要な商品なのか」「本当に問題を解決できるのか」「今申し込むべきなのか」
を判断できません。
そこで役立つのが「PASONA(パソナ)の法則」です。
PASONAの法則とは、読者の問題を明確にし、共感を生み、解決策を示したうえで、具体的な提案と行動につなげる文章構成のフレームワークです。
この記事では、新PASONAの法則を構成する6つの要素について、それぞれの意味、文章を書くときのポイント、具体例をわかりやすく解説します。
※なお、「PASONA」は人材サービス会社の「パソナ」ではありません
PASONAの法則とは?売れる文章を作る6つの骨組み
PASONAの法則は、消費者の心理や購買行動に沿って、伝える情報の順番を組み立てる文章フレームワークです。
神田昌典氏が提唱したセールスライティングの型として知られており、現在は「新PASONAの法則」と呼ばれる形が広く紹介されています。
旧PASONAから新PASONAへの変更では、Aの「Agitation(煽り)」が「Affinity(親近感)」に置き換えられました。
新PASONAは、次の6つの要素で構成されます。
P:Problem(問題) 読者が抱えている悩みや課題を明確にする
A:Affinity(親近感) 読者の悩みに共感し、理解していることを伝える
S:Solution(解決策) 問題を解決する方法を提示する
O:Offer(提案) 商品・サービスの具体的な条件を提示する
N:Narrowing Down(絞り込み) 対象者や条件を明確にする
A:Action(行動) 読者に具体的な次の行動を促す
つまり、
「問題」→「共感」→「解決策」→「提案」→「絞り込み」→「行動」
という順番で文章を構成します。
この順番を意識することで、単に商品を説明する文章ではなく、
「読者が自分の問題を認識し、解決策を理解し、行動する」
ための文章を作りやすくなります。
1.Problem(問題):読者が抱えている悩みを言葉にする
最初のPは「Problem(問題)」です。
ここでは、ターゲットとなる読者が抱えている悩みや課題を明確にします。
読者自身が「何となく困っている」と感じていても、その問題をうまく言葉にできているとは限りません。
そこで、「あなたが困っているのは、こういうことではありませんか?」と具体的に提示します。
Problemを書くときのポイント
重要なのは、抽象的な悩みではなく、読者が実際に経験している場面まで具体化することです。
NG例:
「Webサイトの集客に悩んでいませんか?」
OK例:
「毎週3時間かけてブログ記事を書いているのに、公開後のアクセスが月間50PV程度で止まっていませんか?」
後者のほうが、読者は「自分のことかもしれない」と認識しやすくなります。
「時間」「金額」「回数」「期間」など、具体的な数字を入れることも有効です。
ただし、数字を入れること自体が目的ではありません。
実際の顧客やターゲットが経験している状況を、できるだけ具体的に描くことが重要です。
2.Affinity(親近感):読者の悩みに共感する
次のAは「Affinity(親近感)」です。
Problemで読者の問題を指摘したからといって、すぐに商品やサービスを売り込むと、「結局、営業なのか」と警戒される可能性があります。
そこで、読者の悩みや苦労を理解していることを伝えます。
Affinityを書くときのポイント
「SEO対策の本を読んで、記事タイトルやキーワードを見直した。それでも検索順位が上がらない。そんな経験をしたことはないでしょうか」
「Webサイトを改善しようと思っても、アクセス解析を見ているうちに、何を直せばいいのかわからなくなることがあります」
などがAffinityの例です。
実際の顧客とのやり取りや、自分自身の経験がある場合は、それを盛り込むと文章に説得力が出ます。
ただし、経験していないことを「私も経験しました」と書く必要はありません。
「多くの企業でよく見られる悩みです」「この段階で動けなくなってしまう担当者は少なくありません」
など、実際の経験や知見に基づいて共感を示すこともできます。
Affinityの目的は、読者を不安にさせることではありません。
「この人は自分の状況を理解している」と感じてもらうことです。
3.Solution(解決策):問題を解決する方法を示す
Sは「Solution(解決策)」です。
ここで、Problemで提示した問題を解決する方法を示します。
重要なのは、いきなり自社商品の機能を列挙することではありません。
「なぜその問題が起きているのか」「どうすれば解決できるのか」という考え方を示します。
Solutionを書くときのポイント
Webサイトからの問い合わせが少ない場合、
「アクセス数を増やせば問い合わせも増える」
とは限りません。
必要なのは、アクセス数だけではなく、
「誰に来てもらうのか」
「何を伝えるのか」
「読者のどんな問題を解決するのか」
「問い合わせまでの導線は適切か」
といった点を整理することです。
そのうえで、
「必要なのは、単純に記事の本数を増やすことではありません。
ターゲットが抱えている問題を明確にし、その問題を解決する情報を順序立てて提示することが重要です」
というように、解決の考え方を提示します。
その後で、自社の商品・サービスを解決策の一つとして紹介します。たとえば、
「弊社の記事作成支援サービスでは、検索キーワードだけでなく、ターゲットとなる顧客の課題や購買行動まで整理したうえで、記事の構成を設計します」
といった文章です。
ここで重要なのは、商品スペックだけではなく「導入すると何が変わるのか」というベネフィットを伝えることです。
また、導入実績、顧客の声、調査データなど、実際に確認できる根拠がある場合は積極的に提示しましょう。
4.Offer(提案):具体的な条件を示す
Oは「Offer(提案)」です。
Solutionで「この方法なら問題を解決できそうだ」と理解してもらったら、次に「では、具体的にどう利用できるのか」を示します。
たとえば、価格、サービス内容、利用期間、特典、サポート内容などを具体的に説明します。
Offerを書くときのポイント
読者が知りたいのは、「結局、いくらなのか」「何をしてもらえるのか」「自分は何をすればいいのか」です。
「初期費用5万円、月額3万円で利用できます。導入時にはオンラインで初期設定をサポートします」
「初めて利用する企業様向けに、30日間の無料トライアルを用意しています」
など、具体的な条件を示します。
無料体験や導入サポートなどがある場合は、それも明記します。
ここで大切なのは「安く見せる」ことではありません。
読者が購入・導入を検討するために必要な情報を、わかりやすく提示することです。
5.Narrowing Down(絞り込み):対象者や条件を明確にする
Nは「Narrowing Down(絞り込み)」です。
魅力的な商品やサービスであっても、「また後で考えよう」と先送りされることがあります。
そこで、「どのような人に適しているのか」「どのような条件があるのか」を明確にします。
Narrowing Downを書くときのポイント
「このサービスは、Webサイトからの問い合わせを増やしたい中小企業に適しています」
「専任コンサルタントが伴走するため、毎月5社までの支援としています」
のように書きます。
「今月だけ」「先着○名」などの限定条件を設定する場合は、単なる煽り文句にするのではなく、なぜ限定されているのかという理由も説明しましょう。
「専任コンサルタントが個別に対応するため、毎月5社までとしています」
という説明があれば、限定する理由が読者にも伝わります。
なお、実際には存在しない「残り2社」「本日限定」などの条件を作ることは避けるべきです。
短期的な反応を得られたとしても、信頼を失う可能性があります。
6.Action(行動):次に何をすればよいか明確にする
最後のAは「Action(行動)」です。
ここでは、読者に「次に何をすればいいのか」を具体的に伝えます。
どれだけ良い文章を書いても、行動方法がわからなければ問い合わせや購入にはつながりません。
Actionを書くときのポイント
NG例:
「詳しくはこちらをご覧ください」
OK例:
「まずは無料の資料をご請求ください。下のボタンからメールアドレスを入力するだけでダウンロードできます」
上記のように、具体的な行動を示します。
「問い合わせる」「資料をダウンロードする」「無料相談を予約する」
など、読者にしてほしい行動を一つに絞ることも重要です。
CTA(Call To Action)のボタンも、
「お問い合わせはこちら」
だけではなく、
「無料の資料をダウンロードする」
「30分の無料相談を予約する」
「サービス資料を受け取る」
など、クリックした先で何が起こるのかがわかる表現にすると、読者が行動しやすくなります。
実践例:BtoB向けSaaSの案内文をPASONAで作る
「請求管理を効率化するBtoB向けSaaS」を例に、PASONAの法則を使った文章を作ってみましょう。
Problem:問題
毎月の請求書発行作業に時間がかかり、月末になると担当者の残業が増えていませんか?
Affinity:親近感
請求先ごとにデータを確認し、請求金額を入力して、別の担当者がチェックする。
ミスを防ぐために必要な作業とはいえ、毎月繰り返すのは大きな負担になります。
Solution:解決策
請求管理システムを導入すれば、会計データとの連携や請求書の一括発行によって、手入力や転記作業を減らせます。
この「TOFU請求」なら、会計データと連携し、複数の請求書をまとめて発行できます。
Offer:提案
60日間の無料トライアルを用意しています。
初期設定についても、カスタマーサポートがオンラインでサポートします。
Narrowing Down:絞り込み
無料の初期設定サポートは、対応できる企業数に限りがあるため、毎月10社までとしています。
Action:行動
まずは無料トライアルで、現在の請求業務にどの程度の時間がかかっているかを確認してみてください。
下記のボタンからメールアドレスを入力するだけで、無料アカウントを作成できます。
このようにPASONAの法則を使うと、単なる「商品を紹介する文章」ではなく、
「読者が問題を認識し、解決策を理解し、具体的な行動を取る文章」
になります。
PASONAの法則を使って文章を書く3つのステップ
PASONAの法則を知っていても、いきなり文章を書き始めると、内容が散らかったり、同じ説明を繰り返したりしがちです。
実務では、次の3ステップで作成すると効率的です。
STEP1:6つの要素を箇条書きにする
まず、文章を書くのではなく、P・A・S・O・N・Aそれぞれについて、伝えたい内容を箇条書きにします。
特に、実績や価格、導入期間、顧客の声など、事実として確認できる情報を整理しておきましょう。
STEP2:ターゲットと問題を1文で定義する
次に、「誰の、どんな問題を解決する文章なのか」を明確にします。
「Webサイトは運営しているものの、アクセスが問い合わせにつながらない中小企業の経営者向け」
というように定義します。
ここが曖昧なままだと、ProblemからActionまでの内容もぶれやすくなります。
STEP3:読者の心理に沿って文章化する
最後に、6つの要素をつなげて文章にします。
「問題を認識する」
↓
「自分のことだと感じる」
↓
「解決方法を知る」
↓
「具体的な提案を理解する」
↓
「自分が対象なのか判断する」
↓
「次の行動を取る」
という読者の流れを意識すると、自然で説得力のある文章になります。
PASONAの法則は、WebサイトやLP以外にも使える
PASONAの法則は、ランディングページだけに使うフレームワークではありません。
- Webサイトの商品・サービス紹介ページ
- メールマガジン
- 営業メール
- セールスレター
- Web広告の文章
- 商品・サービスの案内資料
- 営業トーク
などにも応用できます。
ただし、すべての文章を機械的に「P→A→S→O→N→A」にすればよいわけではありません。
既に商品を知っている顧客に送るメールなら、ProblemやAffinityを短くして、OfferやActionを中心にするほうが自然な場合もあります。
PASONAの法則は、文章をそのまま埋めるテンプレートというより、
「読者に何を、どの順番で伝えるか」
を考えるための設計図として使うと効果的です。
PASONAの法則を使うときの注意点
PASONAの法則は、文章を整理するための便利なフレームワークです。
一方で、PASONAの順番に沿って書くだけで商品が売れるわけではありません。
特に重要なのは、ProblemとSolutionがきちんとつながっていることです。
「あなたにはこんな問題があります」と問題を提示したにもかかわらず、その後の商品説明が問題解決につながっていなければ、読者は納得できません。
また、Narrowing Downで過度に不安を煽ったり、実際には存在しない限定条件を設定したりすることも避けるべきです。
(ここは余談です)現在のWebマーケティングでは、単に検索順位やクリック数を獲得するだけでなく、読者にとって役立つ、信頼できる情報を提供することが重要です。
Googleも、検索向けに作っただけのコンテンツではなく、読者にとって有用で独自性のある「People-first」のコンテンツを推奨しています。
その意味でも、PASONAの法則は「読者を無理に動かすためのテクニック」としてではなく、
「読者の問題を理解し、その解決策をわかりやすく伝えるための文章設計」
として活用するのがよいでしょう。
まとめ:PASONAの法則で「売る文章」ではなく「伝わる文章」を設計する
PASONAの法則は、次の6つの要素から構成されます。
P:Problem(問題)
A:Affinity(親近感)
S:Solution(解決策)
O:Offer(提案)
N:Narrowing Down(絞り込み)
A:Action(行動)
重要なのは、6つの言葉を覚えることではありません。
「読者はどんな問題を抱えているのか」
「その問題をどう理解し、共感を示すのか」
「どんな解決策があるのか」
「具体的に何を提案するのか」
「誰に適しているのか」
「読者は次に何をすればよいのか」
という順番で考えることです。
WebサイトやLPのアクセス数が増えているのに、問い合わせや購入につながらない…
そんなときは、アクセス数だけを見るのではなく、「読者に何を、どの順番で伝えているか」を見直してみてください。
ブログ記事や営業メール、商品紹介ページを作成する際に、PASONAの法則を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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