
あなたも口癖になっていませんか
研修で受講者に発表してもらうと、
「自信はないんですけど」
「多分、違うと思うんですけど」
と前置きしてから話す人がいます。
あなたも、会議やプレゼン、上司への報告で、似たような一言を使っていないでしょうか。
「間違っているかもしれませんが…」
「自信はないのですが…」
「全然違ったら恥ずかしいんですけど…」
本人としては、発言を柔らかくしたいのでしょう。
もし間違っていても、予防線として「最初にそう言っておいたから」と自分を守ることもできます。
ところが、この一言は、自分を守るどころか、自分の評価を下げることになりかねません。
「間違っているかもしれません」は、誰のための言葉なのか
「間違っているかもしれません」という前置きによって、聞き手に何が伝わるでしょうか。
たとえば、会議で新しい営業施策について意見を求められたとします。
Aさん
「間違っているかもしれませんが、既存顧客への電話営業を増やすより、
過去6カ月に問い合わせがあった顧客へメールを送ったほうが成約率が上がると思います」
Bさん
「過去6カ月に問い合わせがあった顧客へメールを送り、成約率を比較してみるのがよいと思います」
2人はほぼ同じ内容を話しています。
しかし、受け手が感じる印象は違います。
Aさんの発言には「自信がない」という情報が付加されています。
Bさんには、その情報がありません。
Bさんはわざわざ
「私はこの意見に自信がありません」
という情報を相手に渡しています。
せっかく中身のある発言をしているのに、自分から評価を下げる材料を追加してしまうわけです。
予防線を張っても、間違いは消えない
「でも、間違っていたときに恥ずかしいから、保険をかけておきたい」
この感覚はよく分かります。
人前で発言して、間違いを指摘されるのは誰でも避けたいものです。
特に、上司や取引先、同僚を前にすると、
「もし違っていたらどうしよう」
と考えてしまいます。
ただ、ここで一度、逆の立場から考えてみましょう。
あなたが上司だとして、会議で部下から、
「自信はないんですけど、○○だと思います」
と言われたとします。
その内容が仮に正しくても、あなたはその部下について「自信がない人」という印象が残るのではないでしょうか。
反対にその内容が間違っていた場合、「最初に自信がないと言っていたから仕方ない」と評価がプラスになるかというと、もちろんそうはなりません。
「自信がない」「間違っているかもしれない」という前置きをしても、間違いそのものがチャラになるわけではありません。
むしろ、発言の前に余計な情報を加えることで、聞き手の注意は「何を言うのか」ではなく「この人は自信がないのか」に向かってしまいます。
仕事では「正解」より「考え方」を見られています
研修の時間を例に考えてみます。
研修では、講師から質問を受けたときに、正解が分からないこともあります。
たとえばロジカルシンキングの研修で、
「この問題について、あなたならどう考えますか?」
と聞かれたとします。
ここで、
「間違っているかもしれませんが…」
と話し始める必要はありません。
「Aだと考えます」
と、あなたの思ったことをそのまま言えばよいのです。
研修の目的は、100点の答えを出すことではありません。
自分の考えを言語化し、他者からのフィードバックを受けて、自分の考え方をアップデートすることが目的です。
ですから極論、あなたのAという回答が正しくても間違っていても、「学び」の観点からは、講師にとっても他の受講者にとっても、たいして違いはありません。
だったら、余計なことは言わないほうがよいのです。
これは研修だけの話ではなく、仕事でも同様です。
そもそもあなたの考えが「間違っている」ことを責める人はいません。
安心して考えを発言しましょう。
「自信がない」は「仮説」に変える
とはいえ、確信がないことを断定するのも気が引ける、という気持ちもわかります。
そこでおすすめしたいのが、「自信がない」を「仮説による提案」に置き換えることです。
「自信はないのですが、営業担当を増やしたほうがいいと思います」
ではなく、
「現時点では、営業担当を2人増やすのが有力だと考えています」
「間違っているかもしれませんが、広告を変えたほうがいいと思います」
ではなく、
「広告を変更する案を提案します。現在の広告はクリック率が1.2%で、過去3カ月で0.8ポイント下がっているからです」
ここで大切なのは、自信満々に発言することではありません。
「私はこう考える。その根拠はこれだ」
と、発言の責任を自分で引き受けることです。
責任というと重いですが、発言が「正しい」ことへの責任ではありません。
「私の意見である」ことへの責任です。
「私はこう考えます」で始めるだけでいい
「自信はないのですが」
「間違っているかもしれませんが」
「素人考えですが」
「大した意見ではありませんが」
「うまく説明できないのですが」
こうした言葉を言うのをやめましょう。
端的に発言し、もし「それは違う」と指摘されたら、
「なるほど。その視点はありませんでした」
と受け止める、それだけです。
これなら、上司の評価も下がりませんし、無理に自信があるふりをする必要もありません。
評価を下げるのは「間違い」より「自分を低く見せる一言」
仕事では、誰でも間違えます。
問題は、間違うことではありません。
自分の考えを述べる前に、
「間違っているかもしれませんが」
と自分で価値を下げてしまうことです。
100万円の商品に、
「これはあまり価値がないかもしれません」
という札を自分で付けて販売する人はいないでしょう。
発言も同じです。
自分の意見を必要以上に大きく見せる必要はありませんが、自分から小さく見せる必要もありません。
無意識の「予防線」をやめる。
それだけでも、周囲から見たあなたの印象は変わります。

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