
「えっ、顧客はそんな風に思っていたの?」
「当然だと思っていたけど、お客様は知らないの?」
しばしばこのようなことがあります。
企業が「当然だ」と思っていることと、顧客が同じように「当然だ」と思っていることは、得てしてズレているものです。
このズレを見落としていないでしょうか。
あなた=企業視点の「当たり前」を疑い、顧客視点を取り戻すにはどうすればよいか、ご紹介します。
「保存料を使っていない」?
2008年ごろ、コカ・コーラは「1886年の誕生以来、保存料も人工香料も、一切使っていません。」という広告を展開しました。
※ただしこちらは、一部の原材料は保存料に該当するのでは、また、「コカ・コーラ ゼロ」はこのメッセージに該当しないのでは、などの反応があり、あまり長くは行われませんでした。
一見すると、「コーラって化学物質がいろいろ入ってそうだけど意外だ、それなら安心して飲める」と、消費者の安心を誘う宣伝文句のように思えます。
しかし、冷静に考えれば、缶のコーラはある意味「缶詰」です。保存料を使わないのは当たり前です。
他の缶ジュースやサバ缶に保存料が使われているなんて、聞いたことがないはずです。
本来ならば「当たり前」であることを、わざわざ訴求しているわけです。
あくまでも推測ですが、おそらくこのメッセージ、社内では
「保存料を使わないなんて当たり前じゃないか、そんなことをわざわざ言わなくても」
という反応だったのではないでしょうか。
冷静に考えればそうなのですが、消費者が漠然と持っている
「コーラって化学物質たっぷり、身体に悪そう」
というイメージに対し、いやいや実は…と安心感を与え、信頼を築くのに貢献したはずです。
これは、コーラ会社の「中の人」でいると、意外と出てこない発想です。
「〇〇が入っている」はともかく、「××が入っていない」は、わざわざ意識しません。
アプリ、便利なのにダウンロードされない理由は
スマホのとあるニュースアプリは、ダウンロード数が伸び悩んでいました。
普通だったら、もっとダウンロードしてもらうための策として、
・宣伝を増やす
・プレゼントキャンペーンを行う
・扱うニュースの種類を増やす
などを行うことでしょう。
そのニュースアプリの会社の人は、アプリをダウンロードしていない人に直接「このアプリどうですか?」「なぜダウンロードしないんですか?」と聞いてみました。
すると、多くの人が、そのアプリが無料であるにもかかわらず、有料だと思い込んでいることがわかりました。
それがアプリをダウンロードしない最大の理由だったのです。
アプリ提供側にとっては、えっ、そうだったの!?と気づかない盲点でした。
無料であることは提供側にとって当たり前であり、まったく意識しないことでした。
ここに、企業側と顧客側の視点の乖離が存在します。
そこで企業側は、アプリに大々的に「無料!」と表示しました。
すると、ダウンロード数が飛躍的に伸びました。
もし企業側と顧客側のズレに気づかず、多額の費用を使って宣伝やキャンペーンをしていたら、おそらくムダになっていたことでしょう。
企業側と消費者側の視点は異なる
これらのエピソードに関連して、私が印象に残っている出来事があります。
家のテレビを買うとき、製品をほぼ決定すると、妻は「フレームの色は黒かシルバーか」と非常に悩んでいました。
テレビの専門家ではない私としては、テレビを選ぶ基準といえば映像の品質や機能性だろう、と想像します。
まさか、フレームの色を重視する人がいるとは思いませんでした。
それ以前にフレームの色を意識すらしませんでした。
(おそらくテレビの映像の美しさを日々研究開発している人にとっては、そこで選ぶの!?と脱力してしまうことでしょう)
とはいえ、これも「イチ消費者の視点」であることは事実です。
企業にとっての「当然」と顧客にとっての「当然」は、重なっていないことがある。
むしろ、重なっていなくて当たり前だ、と肝に銘じることになる出来事でした。
顧客の声を聞こう!
企業視点と顧客視点のズレを発見できれば、思いがけない改善案や「売れるコツ」を発見できます。
そのためにはシンプルに「顧客の声を聞く」ことです。
紙やWEBのアンケートなどではなく、直接に「聞く」のです。
そうすれば「えっ、そう思ってたの!?」「そんな理由で買った/買わなかったの!?」と意外な発見が得られます。
答えは、現場にあります。
ぜひ、生の顧客の声を聞きましょう。



コメント