あなたの思いは伝わらなくて当たり前

ある広島の食品会社を支援したときのことです。

(以下、実例のため、名前などを公開できず内容が抽象的になることをご容赦ください)

その食品は割と高額の嗜好品で、かつ日持ちがするものでした。

現在は広島を中心に販売していますが、将来的には、東京などへの全国展開を考えていました。

私が指摘したのはその商品名です。

1.その地名、東京の人も知ってる?

その商品名には原材料の産地である広島の地名が使われています。

その地名は、広島の人だったら、どんな場所かピンと来る地名です。

※たとえばただ「塩辛」と言うより、「函館の塩辛」のほうがピンと来ますよね。そんなイメージです。

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ただ、私が思うに、その地名は広島では有名ですが、全国的にはさほど有名ではありません。「函館」のように誰もが連想が浮かぶ地名ではないのです。

全国展開するにあたって、そのことを企業の方に指摘すると「東京の人は知らないんですか?考えてもみませんでした」という反応でした。

2.それは買い手の心を本当に動かすか

このように、つい「売り手」と「買い手」の意識が離れてしまうことはままあります。

特に売り手側が「◯◯の持ついいイメージを消費者にアピールしていきたい」と言うのですが、それに対して私は

「◯◯ってそんなにいいイメージあるかな…?別に◯◯だからって欲しくなるわけじゃないけどな…」

と思うことは少なくありません。

「~だったら消費者は喜ぶだろう、選ぶだろう、買うだろう」という思い込みは要注意です。

特に食品関係の方ですと、強みや特徴を聞くと「おいしい」と答えます。

でも、待ってください。たいていのまともな食品は「おいしい」んです。どの企業も一生懸命に「おいしい」食品を作っています。

その中で、あなたの会社の商品が群を抜いておいしいでしょうか?

あなたの家の冷蔵庫を思い浮かべてください。「他の商品に比べて、抜群においしいから買った」商品がどれだけあるでしょうか?

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実際には値段が手頃で…普段から買っているからなんとなく…という商品がほとんどのはずです。

もちろん「おいしい」ことは大事です。まずくても売り方次第で売れる、ということが言いたいのではありません。

自分が思う「おいしい」ことが、買い手の購入の「決め手」になっているかをもう一度冷静に考えてみましょう、ということです。

3.じゃあどう伝える?を考え直す

同じく、冒頭の地名も、ローカルな無名の地名を使うことが悪い、というわけではありません。

その土地からの思いを伝えたい、といった理由があれば、あえて無名でも使うべき場面はあるでしょう。

そうではなく「自分の思いと同じことを買い手も思う、なんてことは無い」

もっと言えば

「こちらの伝えたいことは、普通は伝わらない」

くらいに思っておいた方がいいでしょう。

だからこそ「じゃあ、どうすれば伝わるか?」の知恵を絞る必要があるわけです。

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