あるプレスリリースを発見しました。
映画のある生活ラボ 設立のお知らせ ~第 1 回レポート “映画館に年 5 回以上行く人は、生活の「幸福度」が顕著に高いことが判明”
映画がもたらす価値を検証する「映画のある生活ラボ」を設立
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映画館に年 5 回以上行く人は、「生活満足」「充実感」「健康」「生きがい」「希望」(これら 5 項目を総じて“幸福度”と定義)を感じている人が、年 0 回の人に比べて 10%以上高く、映画館で映画を見る行為が人々の“幸福度”を上昇させていました。
確かに資料の数値によると、映画を「見ない人」と「見る人」を比べると、「見る人」の方が幸福なようです。
そのため資料では「映画館で映画を見る行為が人々の“幸福度”を上昇させていました。」と言っています。
では「映画を見ると、幸福になる」のでしょうか?
松茸を食べると収入が増える?
もしも次のような文章があったとしたらあなたはどう感じますか。
「過去1年間で松茸を食べた人と食べていない人を比較すると、松茸を食べた人の方が所得が高かった。松茸を食べると所得を上昇させることがわかった。」
そんなばかな、と思うことでしょう。松茸を食べたから所得が増えたんじゃなくって、もともと所得が高い人が松茸を食べただけでしょう、と。
この映画の例も、それと同じ可能性が高いのではないでしょうか。
「もともと幸福度が高い」、つまり映画を見るゆとりがあるとか、文化的なものを楽しめる趣味が豊富とか、そういった人たちは映画を見るのも好きである、というだけであると思われます。
タイトルの「A.映画館によく行く人は幸福度が高い」自体は間違いではないでしょう。
これが本文のような「B.映画を見ると幸福度を上昇させる」となると、間違いである可能性が高いです。
因果関係と相関関係
上記AとBは似ているようで異なります。
A・・・相関関係(双方が関係し合っている)
B・・・因果関係(一方がもう一方を引き起こしている)
このA相関関係とB因果関係は混同しやすいので注意が必要です。
特にB因果関係は、むしろ原因と結果が逆、ということもよくあります。
「給料が高い会社は、社員のやる気が高い。だから給料を増やすとやる気が出る」
と思えて、実は
「もともと社員のやる気が高く、その結果業績が良くなり、給料が高くなった」
かもしれないからです。
因果関係と相関関係、特に「◯◯だから××になった」という因果関係を見かけたときは、本当にそうかな?と疑うクセをつけてみてはいかがでしょうか。
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