マーケティングを学べるゲーム 開発ストーリー 補足:学びとゲームルール

みなさんのご協力で開発を進めてきた「マーケティングを学べるボードゲーム」、公開が間近に迫ってきています。

以前にも開発ストーリーとして書きましたが、今回はその補足です。

今回のテーマは「そのゲームに”学び”は本当にあるのか?」です。

世の中には数多のビジネスゲームがあります。

それらについて、「楽しかったものの、では勤務時間中に行う研修として、本当に業務につながる成果があったか」と聞かれると、疑問符がつくものもあるかもしれません。
(すべてを知っているわけではないので、断言はしませんが。)

・楽しくてよかった
・盛り上がってよかった
・普段は交流がない違う部署の人と交流できてよかった

…など、楽しさやコミュニケーションを主眼としたビジネスゲーム研修もあるようです。
これはこれで大事な目的なので、否定はしませんが、「だったら普通に人生ゲームやトランプをやればよいのでは?」という気がしないでもないです。

だからこそ私は、ゲームとして楽しい・面白い・盛り上がる・交流できる、というだけではなく、ゲームからの「学び」を重視しました。

ところが、ここで壁にぶち当たります。私(たち)が普段しているマーケティングは、ゲームをやって簡単に身につくようなことではありません。当たり前ですが。
特にマーケティングは複雑な要素が絡み合うため、「これをやれば成功・正解」といったような単純な評価ができません。
「品ぞろえを絞り込んで成功した」企業もあれば、「品ぞろえを増やして成功した」企業もあります。
「宣伝がうまくいって売れた」商品もあれば、「宣伝をまったくせずに売れた」商品もあります。
マーケティングの成否をゲームの勝敗に落とし込むことが難しいのです。

これが「経営」をテーマにしたシミュレーションだったら、「お金」というわかりやすい指標があります。様々な経営戦略をとり、結果的にお金が一番多い人が勝ちです!経営戦略っていろいろありますよね!で終わっても問題ないかと思います。
「負けたのはあそこで広告をかけすぎたからだ」
「製品をたくさん作ったけど顧客ニーズに合致していなくて売れなかった」
など、振り返っての学びもあることでしょう。

ただ、マーケティングはそのような「勝敗」「成否」の判断が難しいものです。
では、何をマーケティングの学びとするのか。

ここで私は発想を切り替えました。私の開発するゲームは、ゲーム単独で提供したり、パッケージに入れて売ったりするものではありません。
だから、マーケティングの「すべて」についてをゲームで遊ぶだけで「わかる」ようにする必要はないのでは?そもそもそんなことは不可能では?

だったら、ゲーム前後の研修と組み合わせて、前後の研修で学んだことがより実感としてわかるようになることをゲームの主題にすればよいのではないか、と考えました。

発想の転換で、「ゲームでマーケティング(そのもの)を学ぶ」のではなく、「ゲームで研修の学びを強化する」と切り替えたのです。

世の中にはやってみて初めてわかることがあります。料理の動画を見て、同じように料理を作ってみたがあまりうまくできなかった…とか、スポーツのコツを学んだがいざ自分でやるとできない…のように。
だからこのボードゲームも、マーケティングを疑似的に「やってみる」こと、その成功や失敗から学ぶことを目的にして設計することにしました。

ざっくり言えば、ゲーム前の研修でマーケティングにとって「大事なこと」を学び、それをゲームで実行して反映させると高得点になる、という仕組みをルールに組み込みました。
その「大事なこと」は、教科書的な一般論ではなく、私が経験した「ここが本当は大事なんだけど、あまり教科書では言及されないし、見落としがちだよなー」と思っていることを盛り込みました。

本ゲームを単独で楽しむこと、そしてそこからマーケティングの一部を学ぶことももちろん可能です。
しかし、私の前後の研修とあわせて体験することで、学びの効果は最大化されます。

研修の座学だけではない、かといって「ゲームが盛り上がって楽しかった」だけでもない、ハイブリッドな「学び+遊び」をぜひご体験ください。

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました