
「既存事業の売上が厳しい。よし、新規事業を立ち上げよう!」
と思ったら、どんな方向で進みますか。
製造業であれば、
・まったく別分野の新製品をつくる。(例、金属製品→プラスチック製品)
・既存製品を改良または改善して新製品とする。(例、金属製品→小型化、軽量化)
・異なる事業を始める。(例、製造業→スポーツジムの運営)
このようなことに取り組むのではないでしょうか。
新規事業をお手伝いする私としては、もちろんどれもよいと思うのですが、その前に考えてもらいたい、そして試してもらいたいことがひとつあります。
それは「既存製品を新市場に売る」、簡単に言えば「すでにある製品を別のお客様に売る」ことができないか、です。
わかりやすい例で、コカ・コーラ社が発売した「アクエリアス ゼロ」のケースがあります。
この製品は以前、ダイエット中の女性向けに発売されました。
運動をした後、もしくは入浴して汗をかいた後などにスポーツドリンクを飲みたい、でもカロリーが気になる…という若い女性向けの商品でした。
しかし、あまり売れませんでした。
ここでつい、「じゃあ売れるように改良しよう」と考えてしまいがちです。
ダイエットをする若い女性にうけるような味、パッケージ、広告にしよう、と。
そうではなく、コカ・コーラ社は、アクエリアスゼロの「売る相手=買ってほしいお客様」はこれでいいのか、と見直しました。
当時、「メタボ」という言葉が普及し出したころでした。
今までは恰幅がいい、中年太り、とスルーされていた男性のぽっちゃり体型が
「これはメタボという状態だ、良くないらしい」
と注目を集めたのです。
すると脱メタボのための軽い運動をする中年男性が増えました。
そこにコカ・コーラは目をつけました。
運動をして水分を補給したい。でもスポーツドリンクは糖分が多い、かといって水やお茶では物足りない…という中年男性をターゲット顧客としたのです。
広告は、サラリーマン姿のオダギリジョーが駅の階段を駆け上がるものでした。
ハードな運動ではなく、あくまでも日常のプチ運動のときに飲んでね、という狙いです。
こうしてアクエリアスゼロは「ダイエットをする若い女性」から「メタボが気になりプチ運動をする中年男性」に売る相手を変えました。その結果、大ヒットになりました。
ここでのポイントは、アクエリアスゼロの商品そのものはほとんど変えていないことです。
売る主な顧客を変えただけで、大ヒットしたのです。
売れないと、「商品を変えよう」と考えてしまいます。
しかし、そもそも現在、品質が大きく劣っている商品はほとんどありません。
(もし品質に大きい問題があって売れないのなら、品質の改善が先です。)
アクエリアスゼロのように、売る相手を変えるだけでヒットになることがあります。
あなたの取り扱う商品やサービスも、売る「市場」、わかりやすく言えば「売る相手」を変えるだけで売れるようになるかもしれません。たとえば…
個人向け⇔法人向け
家庭用⇔業務用
男性⇔女性
若者⇔年配
ファミリー⇔単身者
製品そのものを大きく変えることは、時間や費用が大きくかかります。
しかし「売る相手」を変えることは、そこまで負担になりません。
「既存製品を新市場で売る」、すなわち「今までと違うお客様に売る」、ぜひ試してみてください。



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