もしもダイエット食品に「太っているあなたへ」と書いてあったらどうでしょうか?
確かにダイエット食品を手に取る人は、太っている可能性が高いでしょう。
しかし、こんなことが書いてあったらムッとしますよね。
だからこそ「いきいきとした健康的な生活をしたいあなたへ」などと書くものです。
人には「本音と建前」があります。
その「建前」を見抜き、「本音」に迫れるかどうか、が商売のコツだと言ってもいいでしょう。
「はい、あなたは太っていて困っているんでしょう?だからそんな太っているあなたへ」
では、いくらなんでも本音がストレートすぎて拒絶されるでしょう。
お客さんの側も同様です。本音を隠し、建前を言うこともあるでしょう。
ここで難しいのは、お客さん自身も「本音を隠し、建前を言っている」ことに気付いていない場合です。
たとえば一般の人を集めて「どんなお皿が欲しいですか」と座談会を行うと、様々なアイデアのお皿が提案されます。色、形、材質…。
ところが「ではみなさんお礼に、好きなお皿を自由に持ち帰ってください」と言うと、みなさん白くて丸いお皿を持ち帰ってしまうのだそうです。
様々なお皿のアイデアを出したのは決して「建前」ではなく、その人なりの「本音」なのでしょう。しかし「本音の本音」は「白くて丸いお皿が欲しい」です。
他にも、「微糖の缶コーヒー」はどんな人がどんな理由で買っているかご存知ですか?
「微糖なんだから、甘さ控え目のコーヒーが好きな人が買っているんでしょう?」
それは半分正解、半分不正解です。
微糖コーヒーを買う人の理由は「健康」です。
普通の缶コーヒーを買うより「健康面で、なんとなくマシに思える」からだそうです。
これを知って、私は自分自身も確かにそうだ!と膝を打ちました。
だから、微糖の缶コーヒーは必ずしも甘さ控え目ではなく、普通タイプの缶コーヒーと同じくらいの甘さなのだそうです。
なぜなら、極論すれば、微糖コーヒーを飲む人は「自分は、普通タイプの缶コーヒーよりは健康によいものを飲んでいる」という”実感”が欲しいのであって、それで本当に甘さが抑えられすぎていたら物足りなさを感じてしまうからです。
あなたが思っている「顧客の本音」は「本音の本音」でしょうか?
「お客さんが要望する商品を作る」「微糖コーヒーだから、甘さ控え目にする」
…いずれも当然のように見えて、実は失敗に終わります。
「本音の本音」なのか、を常に意識しましょう。
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