Q.社員の企画提案や問題解決の力を高めるにはどうすればよいでしょうか。現状の延長にすぎないありきたりな案しか出てきません。
A.出てきた案に対して「では、なぜ今それをやっていないのか」を考える習慣をつけることが、問題解決の力を高める第一歩です。
自ら考え、動き、そして成果を残す。
そんな社員が求められることは言うまでもありません。
もちろん会社としての大きい方向性は経営者・役員・管理職などの幹部スタッフが考えるとしても、従業員には「どうすればもっとよくなるか?」「自分ができる最善のことは何か?」と考えてもらいたいものです。
そんな従業員の問題解決の力を高めるには、問題解決についての私の研修を受けるか書籍を読んでください…と言いたいところですが、その手前の「ちょっとしたコツ」を教えます。
(と言いつつ書籍も宣伝します)
1)提案がイマイチなのは「現状の延長」で考えているから
社員が一番恐れること、それはダメ出しをされることです。
あなたは「いや、提案なんだから全部がうまくいくわけがないだろう。失敗してもダメでもいい、どんどんチャレンジしてほしい。そもそもそんなに期待していない」と思うかもしれません。
しかし社員にとっては
自分の意見が不採用=0点=会社に貢献していない=ダメ社員とみなされる
と連想してしまうのです。
そのため社員は当たり障りのない、60点の意見を出しがちです。
では60点の意見にするにはどうするか。確実なのは現状の延長で考えることです。
「高付加価値化して単価10%アップを目指しましょう」
「大量発注によりコストを10%減らしましょう」
など、現状の改善策で考えがちです。
これなら、大間違いではないので批判されませんし、確かに有効かもしれません。
2)じゃあ、どうして今それをやっていないの?
もちろんこれらの提案や企画がすべてダメなわけではありません。
中には有効な提案もあるでしょう。
しかしこれらの提案には落とし穴があります。
見出しのこの一言を質問してみましょう。
「それがそんなにいいことなら、じゃあどうして今それをやっていないの?」
現状の改善程度のことならば、よほど複雑なことでない限り、すでに誰かが企画・実行しているはずです。
では、なぜ今はそうでないのか?を考えると、「本当にその提案が有効なのか」がわかります。
効果はあるがそれに対する労力や投資が大きすぎるのでは…
手間が増えるのでそれに反対する勢力があるのでは…
机上の空論で、実際にそうなるか未知数なのでは…
このように、「じゃあ今それをやっていないのはなぜか」を考えるだけでも、その企画の落とし穴が見えてきます。
3)難しい問題解決のスキルを身につける前に
もしあなたが社員ならば、問題解決のスキルやフレームワークを身につける前に、浮かんだアイデアに対して
「じゃあ、なぜ今それをやっていないの?」
と考えるクセをつけてみてはいかがでしょうか。
すると、その問題を解決する上での「本当の課題」が見えてきます。
たとえば「高付加価値の商品を取り扱っては」と提案しても、
「あれ、でもそういう商品の良さを紹介できる営業スキルが今の営業スタッフに無いよな」
と気づくと、実は商品ではなくスタッフの営業力が問題である…などと気づくことが可能になります。
単なる現状の延長でもなく、かといって画期的な新アイデアでもなく、まずは
「今それをやらないのはなぜだろう」
と立ち止まって考えると、問題解決の力はグンとアップします。
コメント