この福岡の研修で、高級品のマーケティングを取り上げたのでご紹介します。
「高級品は、マニアに売ってはいけません」
なぜでしょうか?
おそらくあなたも???と思うのではないでしょうか。
普通は高級品、つまり高額なものは、素人の人よりもマニアが買いそうですよね。
たとえば高級車なら、買い物の足として使う主婦が買うことはまずありません。よほどのお金持ちを除いて。
ですから、高級品=その道を極めたマニアが買う、と思いがちです。しかし必ずしもそうではありません。
マニアこそ知識が豊富、だから…
たとえば私が以前に関わった「個人用スピーカー」について。世の中には何十万円もするスピーカーがあります。
こういうスピーカーを買うのは音楽マニアやスピーカーマニアだ、と思いますよね。
もちろん「まったくの素人」が買う可能性も低いのですが、かといって高級スピーカー=マニアが買う、とは限りません。
なぜなら、私も調べてわかったことなのですが、スピーカーマニアというのはオーディオ機器一式を「組み合わせ」で使います。
スピーカーはA社、アンプはB社、プレーヤーはC社…というようにカスタマイズするのです。
マニアはその組み合わせ方や、「安価な商品でこんなにいい音が」と発見することに喜びを感じるのです。中には部品を自作する人もいるくらいです。
ところが私が関わったスピーカーは「ケーブル一本でつなげる」ことがウリで、マニアにとってはカスタマイズする余地がない商品だったのです。
だからこの商品はむしろ「いい音を出したいけどカスタマイズとかはよくわからない”非”マニア向け」なのでした。
もしもマニア向けの雑誌に広告を出すなどしても、反応はなかったことでしょう。
高級品=高額品だからマニア向け、という思い込みは危険
しかし他の例で純粋に考えてみると「むしろ初心者こそ高いお金を払う」という例はたくさんあります。
例えば旅行もそうです。初めて海外旅行に行く、という人は、航空券やホテル、送迎や観光など、すべて込みになった高額なパックツアーを利用するでしょう。
一方、慣れた人は自分で航空券やホテルを安く確保します。むしろ旅行慣れしていない人ほど旅行にお金を使う、というのは直感でもわかるのではないでしょうか。
マーケティングをする際は、「高級品=マニアが買う」といったフィルターを外し、虚心坦懐で臨みましょう。
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