仮説設定は日々のトレーニングで鍛えられる
研修やセミナー、講演などで仮説を設定する重要性をお話しすることがあります。
仮説を持たずにむやみに情報収集を行っても、情報は無限に存在し、きりがありません。
それに情報を大量に集めたはいいが、役に立つ情報が得られなかった…となると、情報収集が無駄になってしまいます。
だからこそ、「○○ではないか?」と仮説を立てた上で、それに沿った情報収集や考察を行うことが重要です。
仮説設定は、日々のトレーニングが大切です。
たとえばコンビニで「最近の新商品は○○なものが多い」「○○は売り場が変わった」「昔あった○○は置いていないな」等に気付いたとします。
それに対し「なぜだろう?」と考えてみるのです。
たとえば「最近は濃い味のスナック菓子が多い」→「お酒のおつまみとしての需要があるのでは?メーカー側としても、スナック菓子よりもおつまみという立ち位置の方が高くても売れるし」などと考えてみるのです。この仮説が当たっているかどうかは問いません。
それの繰り返しで、仮説を立てることを習慣づけていくのです。
仮説が正解か確かめなくていいのか?
…といった話をすると、決まって聞かれることがあります。
「仮説を立てる大切さはわかりました。では、その仮説が正しいかはどのように調べればよいのでしょうか。」
これに対して私は
「これは仮説を立てるためのトレーニングなので、それが正しいかは検証しません。というよりも、濃い味のスナック菓子が増えた本当の理由は検証不可能ですよね。」
と答えます。すると、えっ答え合わせしなくていいの…?考えても合っていなかったら意味がないのでは…?という反応をされる方が少なくありません。
その反応こそが、仮説立案を苦手、もしくは避けてしまう心理です。
私たちは小さい頃からテストなどで「答えはなんですか」と聞かれ続けています。
正答は価値があり誤答はダメ、という価値観を植え付けられています。
だから「正解?そんなのわからなくていいんですよ。これは仮説を考えるためのトレーニングですから。」と言われても、「正解が出ないなら意味がないじゃないか」と思ってしまうのです。
正解探しからの卒業
考えてみてください。特にビジネスにおいて正解はあるでしょうか。
安く、それとも高く?駅前、それとも郊外?最新商品、それとも定番商品?
…ビジネスの正解は誰にもわかりませんし、どこにもありません。
正解こそに意味がある、という思考にとらわれていると、何も身動きできません。
現在の状況などから「これが正解に近いのでは」と当たりをつけ、それを検証していく…。それしかありません。
「正解探し」をしてしまうと、仮説立案は永久にできません。「正解の仮説」はないですからね。(正解であるとわかった時点で、それは仮説ではなくなりますから。)
「正解探し」から「仮説探し」へ、そして「正解がわからないことに取り組む勇気」こそがビジネスには必要なのではないでしょうか。
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