ある新聞記者の方のお話を聞いたとき、こんなことをおっしゃっていました。
「私たちは上司から『形容詞を使わずに記事を書け』と厳しく指導されます」
※この場合、「形容詞」は厳密な用語としてではなく、何かを修飾するための言葉、くらいの意味でとらえてください。
形容詞を使わない、とはどういうことでしょうか。
新聞は「事実」を伝えることが何よりも重要です。
そのため、同じ記事が読む人によって解釈が異なってはならないのです。
たとえば「きれいな花が咲いた」という文章はどうでしょう。
何をもってして「きれい」か、というのは人によって解釈が異なります。
だから、新聞記事の書き方としては不適切です。
「○月○日、~の花が咲き、赤い5枚の花びらが開いた」
ならば「事実」なので適切です。
これは、仕事上の言葉の使い方でも大切なポイントです。
形容詞というのは「感じ方」なので、言ってみればその人の主観、どう思ったかに過ぎません。
裏を返すと、事実かどうかに関係なく、「私はこう思ったからこうなんだ」と言えてしまうのが形容詞なのです。
例として「画期的な」「注目を集める」「最先端の」などの言葉です。
あなたもつい使ってしまうのではないでしょうか?
もちろんこれらの言葉が絶対にNG、というわけではありません。
しかし、商談の場などでこれらの言葉を使われても、「で、具体的にどうなの?」「その証拠は?」と思われるだけで、それが事実として心に響くことはないでしょう。
仕事の指示なども同様です。
「きれいに掃除しろ」と言っても、「きれい」の基準は人によって異なります。
「モップを洗剤に浸し、床を2往復しろ」ならば、「事実」の指示です。
「画期的な商品を開発しろ」も、何が画期的かは主観の問題です。
「従来の機能を維持したまま5g軽量化しろ」であれば、具体的です。
「形容詞を使わない」を発言や文章のテーマにしてみると、あなたの伝える力はより向上します。
代表・幸本陽平 プロフィール
- 化粧品デパートのマーケティング業務に携わり、その後独立。
研修や執筆、マーケティングをわかりやすく伝えるための活動などに取り組む。
(株)東風社代表取締役 中小企業診断士 一橋大学卒
広島市在住、新潟県長岡市出身
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