ファシリテーションとは
ファシリテーション(facilitation)とは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。 集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。 その役割を担う人がファシリテーター(facilitator)であり、会議で言えば進行役にあたります。(日本ファシリテーション協会より)
ファシリテーションという言葉はかなり浸透してきました。
簡単にいえば「会議などをうまく進行すること」で、学ぶための書籍や講座なども多数存在します。
しかし、浸透してきたがゆえに、安易にファシリテーションを行って失敗してしまうこともしばしば。書籍や講座で「なんとなくできそう」と思ってしまい、安易に実践することで「生兵法は大怪我のもと」になり、会議などがかえってぎくしゃくしてしまうことも。
そこで、本格的なファシリテーションを学んだり挑戦したりする前に、ファシリテーションの場面の冒頭、開始時に「やるべき4つのこと」と「やってはいけない1つのこと」をご紹介します。
私、幸本陽平は研修講師として研修を行ったり、企業のコンサルタントとして会議を行う上で、必ず最初に行う4つのことがあります。それによって、研修や会議が円滑に行われます。
この4つをやっておき、さらに「やりがちだがやってはいけない1つのこと」を回避すれば、よいファシリテーターとなり、円滑な会議となることでしょう。
冒頭でやるべきこと その④
終了時間を決める
その会議や話し合いは「いつまで」するのか、もしくは「どれくらいの時間」行うのか、を最初に設定して確認します。
以上です。
…では終わってしまうので、もう少し続けます。
前回の③では「ゴールを設定する」、すなわちどこに向かって話し合うのか、どんな状態になればこの話し合いは終わるのか、を決めました。
そこで「ゴールの無いマラソンは走れない」とお話ししました。
人は「どうなったら終了なのか」がわからないとなかなかがんばれないものです。
もちろん長期の目標は「世界を平和に」など抽象的なものでもよいのですが、もっと身近でわかりやすく、達成可能な短期の目標もないと、「いつまでやればいいんだろう…」と力尽きてしまいます。
そのために終了時間を決めておきます。
話し合いや議論は、時間を2倍かければ2倍良い結論が出るわけではありません。
逆に言うと「もうこれ以上よい結論は絶対に出ない」と断言することもできません。
やろうと思えばいつまでもできてしまいます。
だからこそ会議などを開始する際に、終了の時間を決めておくのです。
具体例
いつまでもダラダラと続く会議は、単に時間の無駄なだけではなく、良い結論を導くためにもマイナスです。
なぜならば「どうなったら終わりか」「いつになったら終わりか」が決まっていないと、参加者は
「どうせここで自分がいい意見を出しても議論が終わるわけじゃない」
と真剣さが薄れてしまうからです。
人は関与する人が増えれば増えるほど「手抜き」をします。
ある実験では、8人で綱引きをしてもらったところ、一人あたりの力は本来の全力と比べて半分になってしまったそうです。このように参加者が増えると手を抜いてしまうことを「社会的手抜き」、別名リンゲルマン効果といいます。
「終わりが決まっていない状況」もまさに同様です。
自分一人が頑張ったって、早く終わるわけじゃない。
みんなの意見をなんとなく聞いて、ちゃんと参加しているふりをしておこう。
先は長いんだから、ずっと全力だと疲れてしまう。
ほどほどに手を抜いて話し合いに参加しよう。
…もし全員がこのような意識で参加したら、言わずもがな、です。
そうならないためには「終了の時間」を決めておき、何がなんでもそこまでに結論を出さなければならない状況に追い込む。
さらに「結論が出ればそれより早くても終わる(=時間の長さで評価しない)」ことも表明しておけば、さらによいでしょう。
長時間みんなでがんばること=いいこと、ではありません。
大事なのは「成果」です。
より良い成果を出したいのならば、「終了時間」を冒頭に決めておきましょう。
おさらい
全4回のおさらいです。
ファシリテーションや会議の冒頭でやるべき4つは以下です。
1.自己紹介、自己開示
2.目的を明確にし、共有する
3.ゴールを設定する
4.終了時間を決める
次回はおまけ、
「ファシリテーションや会議の冒頭でやってはいけない1つのこと」
をご紹介します。
コメント