【価値交換フロー】004 価値、ベネフィット

価値交換フローは、顧客にとっての価値とその価値を交換する仕組みを整えることで、次に取るべき行動を明確にする実行型フレームワークです。 自社のマーケティングのどこが不十分なのか、お客様が買わない原因はどこにあるのかを的確に突き止められるため、「マーケティング実務の普遍的な基盤」として、新規事業の立ち上げや、既存商品の立て直し、施策の優先順位付けなど、規模や業種を問わずさまざまな場面で活用いただけます。

価値こそが最重要概念

今回は、価値交換フローにおいて極めて重要な「価値」について考えていきます。

価値は、非常に難しい概念です。
これだけで本が一冊書けるのではないかと思うほどで、この概念をしっかり理解するのは容易ではありません。
逆に言えば、この価値の本質さえ掴めれば、マーケティングの50%以上を理解したと言っても過言ではない、と言えるほどです。

「いいものを作れば売れる」は本当?

よく「いいものを作れば売れる」と言われます。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
それは「何をもって『いいもの』とするのか?」という点です。

例えば、機能や性能が優れていれば、それは「いいもの」でしょうか。
かつての日本の家電製品は、次々と新しい機能を足し、リモコンを複雑にしていきました。
しかし、その機能の多くはほとんど使われませんでした。
むしろ、単一の機能しかない安価な輸入品の方が、使い勝手がよくて売れる、といったケースすらあります。

「いい商品・サービス」と一口に言っても、何をもって「いい」とみなすか、は非常に難しいものです。
だからこそ、「価値」の概念が重要なのです。
単に美味しければ人気が出る、性能が上回っていれば勝てる、といった単純な話ではなく、「その商品の価値は何か?」を深掘りしなければなりません。

ベネフィットとは何か

マーケティングにおいて、価値を考える上で欠かせないのが「ベネフィット」という言葉です。
ここでは難しい定義は避けますが、簡単に言えば「その商品から得られる、いいこと(便益・メリット・うれしさ・得など)」を総合したものです。

このベネフィットは、スペック(性能)とは異なります。スペックが高ければベネフィットも高まるとは限りません。
例えば、あなたが日曜大工を始めようとするとき、プロの大工さんが使うような本格的な工具を渡されても、持て余してしまうでしょう。
その時、あなたはその本格的な工具に対して、高い価値があるとは感じないはずです。
この場合の「価値」は「価格」とは別ものです。

ドリル・高級時計のベネフィットは

ベネフィットの説明でよく使われる例えに、
「人はドリルが欲しいのではなく、穴が欲しいのだ」
という言葉があります。

なぜ人がドリルを買うのか。
それはドリルを飾っておくためではなく、穴を開けたいからです。

では、なぜ穴を開けたいのか。それは日曜大工で家具を作りたいから。
なぜ家具を作るのか。それは「節約になるから」かもしれないし、「自分の力で作り上げるのが楽しいから」、あるいは「家族に頼りがいのある姿を見せたいから」かもしれません。

これら「節約」「楽しさ」「家族からの信頼」といった欲求を満たせることこそがドリルから得られる「ベネフィット」です。
人はそのベネフィットのためにお金を払うのであり、ドリルはそのための手段に過ぎないのです。

別の例で考えてみましょう。高級腕時計のベネフィットとは何でしょうか。
もちろん時間は確認できますが、それが主たる目的ではないはずです。
安価な時計でも時間は正確にわかるからです。

その高級時計から得られるのは、例えば「成功者であることを周囲に示したい」「自分のセンスの良さをアピールしたい」「資産価値としての値上がりを期待したい」、あるいは「自分が成功した証として身に着け、満足感を得たい」といった感情や期待です。

仮にその時計が1万分の1秒を刻めるほど正確だったとしても、その精度自体が価値なのではありません。
「そんな驚異的な機能を持つ時計を所有していることが誇らしい」という気持ちこそが、時計から提供されているベネフィットなのです。

ベネフィットも、人が基準

そして、何よりも大切なことは、ベネフィットは買う・使う人が「感じる」ものだということです。
ベネフィットはあくまでも「人が基準」です。
ですから、
「この商品は、~というベネフィットがある」ではなく、
「人は、この商品に~というベネフィットを感じる(得る)」
と、ベネフィットにおいても人を主語にすべきなのです。

では、あなたの商品はどのような価値を提供しているでしょうか。
自分の商品に価値はあるのか。
価値を高めるにはどうすればいいのか。
そもそも、どんな価値を提供すべきなのか。

次回は、これらをさらに深掘りしていきましょう。

 

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