【価値交換フロー】005 自分ごと…場面、属性、嗜好

価値交換フローは、顧客にとっての価値とその価値を交換する仕組みを整えることで、次に取るべき行動を明確にする実行型フレームワークです。 自社のマーケティングのどこが不十分なのか、お客様が買わない原因はどこにあるのかを的確に突き止められるため、「マーケティング実務の普遍的な基盤」として、新規事業の立ち上げや、既存商品の立て直し、施策の優先順位付けなど、規模や業種を問わずさまざまな場面で活用いただけます。
一般的な価値…機能&情緒
マーケティングにおいて、そして「価値交換フロー」において極めて重要な概念である「価値」について、改めて深掘りしてみましょう。
一般的に、価値には「機能的価値」と「情緒的価値」があると言われています。
例えばパソコンで考えてみると、機能的価値とは「薄くて軽い」「バッテリーが長持ちする」「処理速度が速い」といったスペックのことです。
それに対して情緒的価値とは、利用する人が感じる精神的な満足感を指します。
「アップル製品を使うことで、創業者スティーブ・ジョブズの哲学に触れている気がする」とか、「この製品を使っている自分が誇らしい」といった感覚です。
価値は、他にも「自己表現的価値」や「社会的価値」などに分類されることもあります。
こうした分類も有用ではありますが、私は「人」を中心に置き直しました。
従来の価値の定義は、あくまで商品やサービスを主体としたものです。
しかし、ある機能に価値を感じるかどうかは人によりますし、ましてや情緒的な価値は人によって振れ幅が非常に大きいものです。
ですから、もっと「人を主語にした表現」の方が実務に即しているのではないかと考えました。
自分ごと … 場面・属性・嗜好
そこで、価値を判断する人を基準に、「場面」「属性」「嗜好」という3つの物差しで考えることにしました。
これら3つを総称して、「自分ごと」としています。
価値において重要な「自分ごと」はどのように構成されているか、ご紹介します。
- 場面
同じ人でも、置かれた場面や状況によって求めるものは変わります。
極端な例ですが、砂漠で遭難している人なら、1本1万円の水でも喜んで買うはずです。
反対に、お腹がいっぱいの時に高級レストランで最高の料理を出されても、食べる気にはなりません。
「この商品は、どんな場面にいる人が欲しくなるのか」を考える。
それが「場面」です。 - 属性
その人がどのような人物か、という要素です。
「20代女性」「50代男性」といった年齢・性別はもちろん、所得、家族構成、職業、居住地域なども含まれます。
例えばランドセルを売りたい場合、ターゲットとなる属性は「小学校入学を控えた子ども」はもちろん、その「親」、あるいは「祖父母世代」が適切な顧客となります。 - 嗜好
当然ながら、人によって好みは千差万別です。
「高くても美味しい料理を少量楽しみたい」という人もいれば、「味は二の次で、安くて量があればいい」という人もいます。
「地球環境に優しい製品ならば高くても構わない」という人、「ダイエット中だから糖質は絶対にチェックする」という人など、人によって好みは様々です。
それぞれの好みに応じた価値を提供しなければ、心には響きません。
「自分ごとの価値」を3タイプに分ける
以上の3つが、お客様にとっての価値を考える分類です。
簡単に言えば、その価値を決めるのはお客様であり、以下の理由でお客様は買うからです。
「欲しい場面だったら買う」(例、砂漠で水)
「欲しい属性だったら買う」(例、子供がいるからランドセル)
「欲しい嗜好だったら買う」(例、ダイエット中だから糖質オフ)
人はあくまで「自分にとって良い」と思えるものを買うのであって、どれほど世間で高評価の商品でも、自分に関係がなければ購入には至りません。
よくマーケティングでは「セグメンテーション(市場細分化)」や「ターゲティング」と言われますが、どうしても「20代女性」や「ダイエット中の人」といった抽象的な括りで満足してしまいがちです。
この「場面・属性・嗜好」という3つの物差しをあてることで、ターゲットの解像度が低い、あるいは分析が浅いといったミスを防ぐことができるのです。
次回は、「価値」において「自分ごと」と並んで重要なもう一つの概念、「差異」についてお話しします。


