【新規事業×高価格×地方003】なぜ大戸屋の立地は悪条件なのか

「顧客を大切にしましょう」

と言われたら、それはそうだろう、と思うことでしょう。

しかし、
「顧客が誰なのかを正確に把握する」
「その顧客の微妙な心理まで深く理解する」
ことは、重要であるにもかかわらず、私から見ると十分でないことがままあります。

大戸屋の立地戦略から、「顧客」について考えてみましょう。

定食チェーンの「大戸屋」は、多くの店舗が2階や地下に位置しています。
一般的に飲食店、しかも居酒屋などではないランチ需要の飲食店は、1階に店を構えるのが常道です。
2階や地下だと、店の中が見えず、入りにくいからです。
私も先日、おいしそうと思ったインドカレー店が2階で、なんとなく不安でやめてしまったことがあります。

では、なぜ大戸屋は悪条件の2階や地下に店を構えているのでしょうか。
ひとつは、家賃が安いからです。
もうひとつはお客様の心理です。

大戸屋の主要顧客は「女性の一人客」です。
1階の路面店では、通行人から店内が丸見えになります。
女性の一人客にとって、「一人で定食を食べている姿を外から見られる」ことは、避けたいものです。

「一人でいる私を見ているのではないか」
「一人で食べているところを外から見られたくない」

こうした微妙な抵抗感が、女性ひとり客の来店を躊躇させる大きな要因になりかねません。

2階や地下に店があることで、このような心理的な障壁は取り除かれます。
外からの視線がないため、女性客は「人目を気にせずゆっくりと食事を楽しむ」ことができるのです。

一般的には、飲食店の立地は「目立つ場所」「人通りの多い場所」が適している、と言われます。
しかし、大戸屋は自社の顧客にとって何が本当に価値なのかを考え、あえて悪条件の2階や地下に店を構えています。

「見つけやすさ」よりも「入りやすさ」
「目立つこと」よりも「安心できること」

これらの顧客心理をを理解し、立地戦略に反映させることで、大戸屋は女性客から支持を得ることができました。

ビジネスにおいて重要なのは、あなたの顧客が本当は誰なのかを見極めることです。
そして、その顧客の表面的なニーズだけでなく、言葉にしづらい微妙な心理まで深く理解することが欠かせません。

飲食店であえば「価格」「味」が重要なのは当然です。
そういった一般的なことだけでなく、それらと同じくらい、もしくはもっと重要な要素があるかもしれない、と考えてみてはいかがでしょうか。

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