
新規事業は未知の要素だらけで当然です
新規事業に関わっていると、判断に迷う場面があって当たり前です。
- 市場調査をしても確信が持てない…
- 数字を集めても、なんとなくしっくりこない…
こうした状態に陥ると、「準備が不足しているのでは」「もっと調査すればよいのでは」もしくは「誰かが決めてくれ」などといつまで経っても前に進みません。
新規事業は、最初から未知の要素だらけです。
見えていないことが多い状態で進むのが当然です。
それに対してどのようにすればよいか、そのはじめの一歩をこのコラムでは解説します。
確信が持てない状況をどうするか
たとえば、新しいBtoB向けサービスを立ち上げる状況を想像してください。
- 顧客候補にはヒアリングをした、
課題もそれなりに聞けた、
ただし、いざ「誰がどのタイミングでお金を払うのか」と問われると、答えが曖昧になる… - 現場担当者は興味を示している、
しかし決裁者が本当にOKをしてくれるのかは未知… - 価格については「安ければ使う」と言われる、
だが安いとはいくらなのかは分からない…
新規事業では、このような「輪郭はなんとなくわかるが、確信は持てない」状態になるのが当たり前です。
進めれば進めるほど「わからない」が増えてくる
別の例を挙げます。
新しいプロダクトを開発しようとしたとき、技術的には実現可能だと分かった。
ところが、実際に提供する段階になると、オペレーション負荷が想定以上に大きいことが判明する。
- 問い合わせ対応は誰がやるのか…
- 障害が起きたとき、どこまでサポートするのか…
こういった疑問は、最初の企画段階ではなかなか見えません。
私も経験がありますが、新規事業では
「ひとつ問題をクリアすると、次にクリアするべきことがふたつ増える」
といった状況になることがあります。
いわばやればやるほどわからないことが増えるのです。
ここで「事前の想定が甘かった」と反省することもあるでしょう。
運用の不確実さが後から判明するのは、新規事業ではよくあることです。
ここで、不確実性が高まるのは、「計画の失敗」や「準備の不足」ではありません。
未知が多い領域に踏み込んでいるのですから、当然のことです。
未知の要素はある前提で
新規事業を進める際に重要なのは、
「未知の要素を排除しよう」「変数があるのはよくないことだ」とはしない
ことです。
たとえば、新規事業を推進するにあたり、社内から次のような声が出ることがあります。
- まだ顧客像が固まっていない
- 市場規模が正確に出せていない
- 競合の動きが読めない
これらは確かに不安要素です。
しかし、新規事業の初期段階で完全に分かることの方が少ないでしょう。
未知の要素や変数があること自体を問題視すると、事業はいつまでもスタートできません。
「しょうがない」で止めないための具体的な工夫
とはいえ、未知の要素が多いからといって、わからなくてもしょうがない、とただ放置するわけにはいきません。
ここで有効なのが、わからないことを一つの塊として扱わないという考え方です。
たとえば、「顧客が分からない」という言葉の中には、複数の不確実性が混じっていると考えられます。
- 誰が使うのか分からない
- 誰が決裁するのか分からない
- どの業種に刺さるのか分からない
これらをごちゃまぜにすると、何も判断できなくなります。
しかし、分けて考えれば話は変わります。
- まずは現場担当者に使ってもらえるかを確かめる
- 決裁プロセスについての検討は後で行う
- 業種は一つに絞って試す
こうして変数を分解すると、今やるべきことが具体的になります。
実際に、私も新規事業を支援する中で、
「当初に想定した顧客と実際に買い求める顧客が全然違った」
なんてことはよくあります。
「わからないから何もしない(できない)」が最悪のパターンです。
わからない状況を少しずつ解決していく
もう一つ例を挙げます。
価格設定が分からないという悩みもよくあります。
適正価格について議論を続けると、正解があるわけではないので、話は堂々巡りになります。
この場合、最初から最適な価格を決めようとする必要はありません。たとえば、
- 仮の価格帯を三つほど用意し、実際に反応を見る
- 価格に対する質問が多いのか、機能に対する質問が多いのかを見る
こうした小さな検証によって、適正価格が具体的になっていきます。
完全には分からないものこそ、分けて試すことが大切です。
新規事業は、不確実性と共存しながら進める
新規事業を進めていると、不確実な状態を嫌がる声が必ず出てきます。
- もっと確度を上げてから…
- 数字が固まってから…
- リスクがなくなってから…
しかし、その状態を待っていると、事業は永遠に動き出しません。
新規事業とは、不確実性が残ったまま次の一手を打つ、その連続です。
新規事業の未知の要素を「絶対に乗り越えるべき課題」としてとらえるのではなく、
- 未知の要素や変数は、あることが前提で考える。
- そして、変数を分け、扱える形に解きほぐす。
そうすることによって、新規事業の「わからないから進めない」が「わからないなりになんとか進む」へと変わっていきます。



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