
※以下はBtoB製造業を念頭に置いていますが、BtoC含め、あらゆる業種・業界に共通です
なぜ「お客さまの要望を聞く」だけでは不十分なのか
一般論として、お客さまの声を聞くことは大切です。
営業が要望を集め、それを商品企画や設計に反映する……
この流れ自体は妥当と言えます。
問題は、要望=本当の課題とは限らない、ということです。
顧客は多くの場合、「今ある選択肢の中での不満」しか語れません。
「もっと軽くしてほしい」「もう少し耐久性がほしい」といった声は確かに上がるでしょう。
しかし実際には、それらは別の困りごとの結果として出てきている可能性があります。
重要なのは、表面的な要望ではなく、
その不満が生まれる場面や理由をきちんと理解することです。
- どんな作業の中で使われているのか
- なぜその工程が大変なのか
- どこで時間・手間・煩雑さが発生しているのか
ここに踏み込まないと、表面的な「なんとなく良くする」ための改良だけで終わってしまいます。
既存商品の改良で満足度は高まる
会議では、新商品や新規事業の話題が注目を集めがちです。
一方、既存の主力製品がどう使われているかは、あまり深く議論されていません。
しかし実際には、売上や顧客満足度の大半は「よく売れている製品」「よく使われている工程」から生まれています。
例えば、
- 多くの顧客が毎日使っている操作部分
- 現場で必ず通過する作業工程
- クレームにはならないが、地味に手間がかかっている部分
このような、日常的な要素をを少し改善するだけで、顧客の評価や継続的な取引につながっていきます。
派手な新製品を出す前に、主力製品の「当たり前」を疑うことが重要です。
数字には現れにくい「困りごと」を掘り下げる
製造業では、原価率、不良率、稼働率など、数値管理が徹底されています。
これらはもちろん重要です。
ただし、数字だけでは説明できない感覚的な要素も重要です。
- この製品だけ現場であまり歓迎されない
- カタログ上は優れているのに選ばれない
- 営業が説明に苦労している
こうした現象は、スペックではなく、現場での使われ方や使用者の感情の問題であることが多いです。
だからこそ、経営者や開発責任者が、実際の現場や顧客の使用シーンを直接見ることに大きい意味があります。
どのように顧客に聞けばよいのか
顧客に話を聞く際、どう質問するかでその答えの有効性が変わってきます。
「どんな機能が欲しいですか?」ではなく、
- この製品は何のために使っていますか
- 一番面倒だと感じる工程はどこですか
- 他社の類似製品は検討しましたか、それは何(なぜ)ですか
こうした問いによって、表面的ではない事実がより具体的にわかります。
重要なのは情報量ではなく、うまく質問し、
「顧客自身も気づいていなかった心の内を引き出す」ことです。
顧客の要望の「その奥」を理解する
製造業において重要なのは、顧客の要望をそのまま形にすることや、最新技術をいち早く取り入れることではありません。
本当に差がつくのは、
- 顧客が何を成し遂げようとしているのか?
- 現場でどこに無理が生じているのか?
- 自社製品がどんな役割を果たしているのか?
これらを深く理解することです。
表面的な「もっと安く」「もっと軽く」「もっと丈夫に」ではなく、その奥のもう一段深くを見ることが欠かせません。


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